シンガポール・ホリデイ① (旅行-連載小説-短編)

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この連載小説について

実際にはまだ行ったことのない国ですが、いつかは行ってみたいという憧れがある国を舞台に設定してみました。ここではそんな憧れを連載小説風にしてみました。当然現地を知らない訳ですから突っ込みどころは満載だと思います。実際にそこへの旅行を予定している皆様のために、旅行されたご経験のある場合は、ぜひ正しい内容を補足していただけますと幸いです。物語も「創造」(?)というよりは「想像」で書いています。なのでこちらも無理はいっぱいで突っ込み所たっぷりです(笑)
細かいことはあまり気にせず、楽しくお読みいただければうれしいです。

シンガポール・ホリデイ ①

ハナは東京都内のアパレル会社で事務員をしています。入社して3年目に入り、後輩の指導もするようになりました。派手な世界にあこがれてこの会社を選んだのですが、実際には地味な仕事でしたから思っていたものとはだいぶ違うようです。そんなこともあり、ボーナスをつぎ込んでは海外旅行へ行くのがこの頃の楽しみになっています。旅行のときは高校時代からの友達ミナと2人で行くことが多いです。ミナも都内で働いています。歯科医院で歯科衛生士をしています。二人でいればいつでもどこでもにぎやかに楽しめるのです。

都内の商業ビル二階にあるイタリア料理店でお昼を食べながら二人でプランを立てることになりました。陽気な雰囲気の店内で気分も高まります。通りが見える開放的な席を選びました。

今回はもう目的地だけは決まっているのです。行き先はシンガポール!ミナの強い希望でそうなったのです。なんでも占いで恋愛運が上がる方向なのだとか・・・。
いつものようにスマートフォンでツアーを探します。二人がよく利用する旅行会社のウエブサイトで良さそうなツアーがありました。

ミナがスマートフォンを見ながら言います。「羽田発 シンガポール二泊三日、朝食付き、送迎あり最小催行人数は一名から。7万円だって!」ハナが相槌を打ちます。「いいんじゃない?2月の出発なのね・・・。もしかしてベストシーズンだったりして!」「観光は一切なくて自由時間が1日あるだけなんだって。」「へえっ!もしかしてそれってお買い物専用の旅行?」

ほがらかに笑いあいました。独身貴族とはいえ予算には限界があります。安いツアーに限ります。服や靴など欲しいものもいっぱいです。そのために海外旅行といっても二人が選ぶ旅行はいつも安い旅行です。例えば、シーズンオフの値段が安くなっている時期のパックツアーなども多いです。おかげで鉛色のエーゲ海を見たり、寒すぎるシャンゼリゼ通りのオープンカフェを味わうなどの貴重な体験ができています。免税店でお買い物ができれば大満足な二人なのでいつもこんな感じなのですね。

即決、すぐに予約を入れました。しっかり予約ができました。一安心です。あとは、とりとめのないおしゃべりをしながらイタリア料理のランチを堪能したのでした。

翌日ハナはさっそく会社から2日間の有給休暇をとり、土日とからめて合計4日の休みにしました。帰国後に一日の予備日をとるのがハナの流儀です。万一飛行機が遅延してもなんとかなるし、何事もなければ疲労を回復する休養日となります。

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少し時が流れて二月になりました。いよいよ出発のときが来ました。羽田空港発の便なので、都内在住の二人にとってはとても便利です。新宿から羽田空港を結ぶ空港専用のバスを使って羽田空港に向かいました。スーツケースはバスのトランクルームに入れてもらえるので身軽に乗車できました。道路も特別には混雑していなかったので55分位で着きました。時間帯によってはもっと早く着く便もあるようです。国際線ターミナルで降ります。バスを降りてトランクルームからスーツケースを受け取り国際線ターミナルへ向かいます。

すっきりとした空港ターミナルビル内はいつもどおり旅客でにぎわっています。日本人だけでなく海外からのお客様も多いようです。さまざまな国の言葉が飛び交っています。二人はカラフルなスーツケースを転がしながら航空会社のカウンターを目指します。二泊三日の旅なので荷物は少ないはずなのですが、ミナは一週間くらいの旅ができそうな大きさのスーツケースを持っていますハナのスーツケースよりもかなり大きいものでした。航空会社のカウンターが見えたころ、ミナが突然「あっ!旅行の日程表とパスポートがスーツケースの中だったわ!」と言って通路の真ん中で突然スーツケースを開け始めようとしました。ハナは驚きましたが、(こんなところで開けなくてもいいのに・・・。と思いながらも)「もう少し端のほうに寄って開けましょうね!」と言いました。「えっ?そう?」と言ってミナはスーツケースを通路の端に寄せました。ミナはスーツケースを開けました。旅行の日程表とパスポートはすぐに出てきました。それにしても荷物はスーツケースの四分の一ほどしか入っていません。ミナはハナを見るとちょっと自慢げに「私のスーツケースにはまだとっても余裕がありま~す!」と笑顔で言いました。ハナは「いっぱいお買い物できるね!」と言って笑いました。

今回のツアーは添乗員さんが付かないタイプなので航空会社のカウンターに直接チェックインします。このごろでは航空会社のカウンターに行く前に自動の機械を使って発券してもらうこともできる場合があるようです。

航空会社のカウンターでスーツケースを機内預け荷物としてお願いするわけです。その場合は航空会社のカウンターでパスポートと航空券を確かめることになります。その場合、もしパスポートがスーツケース内に入っていたらミナは航空会社のカウンター前でスーツケースを開けてパスポートを出さなければならなくなっていたかもしれません。

昔はうっかり、スーツケースにパスポートを入れたまま航空会社に預かってもらってしまったお客さんもあったそうです。預けた人は日本を出国することができなくて、荷物だけがシンガポールに飛んで行ってしまったなどということもあったようです。

添乗員さんが付くツアーのような場合は荷物を航空会社に預ける前にツアー会社のカウンター前に集合するので、そのときに添乗員さんがパスポートをチェックしてくれることが多いです。ですからよほどのことがない限り、パスポートをスーツケースに入れて飛行機に乗せてしまうようなミスは起きません。

空港ではパスポートはいつでも取り出せるように使いやすい入れ物に入れて身に着けているほうが良いですね。

(つづく)

良い旅を!

 

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