シンガポール・ホリデイ②(旅行 連載小説 短編)

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ツアー会社のカウンターにて

ハナとミナは航空会社のカウンターへ旅行日程表で指示されたとおりに飛行機出発の2時間以上前に到着しました。添乗員さんは同行しないタイプのツアーなのでツアー会社の担当者さんが現れることは当然ありません。航空会社のカウンターに直接チェックインします。航空会社のカウンターではパスポートと航空券を確認された後、スーツケースの重量を計ったら問題なかったので預け入れることができました。同時にマイレージカードにマイルもつけてもらいました。スーツケースには事前に渡された名札のタグが誇らしく付いています。

羽田での搭乗方法や、シンガポールに着いてからの行動などについては旅行日程表に詳しく書かれていました。ツアーメンバーは6人と判っていますが、具体的に誰がメンバーなのかはシンガポールに到着してみないと判らないようです。ただし、メンバーが判っても今回の旅はほとんど自由行動しかないので実質ハナとミナの二人旅の予定です。

お腹も空いてはいないし買い忘れたものもないので長居は無用です。制限区域を目指します。スーツケースも預け、搭乗券もゲットしたので次は保安検査です!

二人ともショルダーバッグ以外特別な持ち物はなかったのでスムーズに保安検査は終了しました。ペットボトルを持ち込もうとして放棄を求められ一気飲みをしている背の高い若い男性がいました。ハナは(昔の私の姿だわ・・・。それにしてもいい飲みっぷりね!)と思ったのでした。ミナは「いやよねえ、ああいう人はまったく恥ずかしい・・・。」と言いました。

 

税関で申請するような輸入品は二人とも持っていないので税関では特に問題はありませんでした。

出国審査ではパスポートに出国のゴム印を押されました。担当官は笑顔で「行ってらっしゃい!」と言ってくれました。「行ってきます!」と答えました。

さて、これでほっと一息です。出発まで一時間ほどあります。搭乗開始時間は出発時間の30分前からと考えると今から30分くらいの時間がありそうです。ハナとミナは顔を見合わせて言いました!

「ハナ!ここは免税店でお買い物でしょう!」

「そうだねミナ!」

妙な気合が入ります。免税店へ急ぎ足で向かいます。羽田空港国際線の場合、免税店が非常にたくさんあるため30分ではごく限られたお店にしか行けません。それでも駆け足で何店舗かをはしごしました。

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制限区域内のお店は免税なのでブランド品を日本国内よりも安い価格で買うことができます。お店に入ると日本ではあまり感じることのない少し欧州的な香水の香りがします。きらびやかなパッケージが所狭しと陳列してあります。ご婦人を中心にお店はにぎわっていました。二人は狙っていたブランド物のグロスやブランド物のスカーフをサクサクと選び購入しました。とてもかわいいオープンハートのネックレスもあったのですが迷った末にやめておきました。レートの加減で損得は微妙ですが両替していない分だけお得と考えて日本円で購入してみました。損をしたのか得をしたのかは良くわからないのですが、日本で買うよりは安い!また、日本では売られていないものが買える!メリットは十二分にある!と思うことにしました。「これでよし!」と言いながらお店を出てから買い物したものをショルダーバッグにしまいました。かさばらない物を選んでいるので邪魔になりません。

「いつも思うんだけれど、もっと早めに来ればお買い物がゆっくりできるのにね。」とミナ。

「本当にそうだね。」とハナ。

「・・・ナウ ボーディング・・・」と英語でアナウンスが聞こえてきました。

「あっ、搭乗始まったね!」とミナ。

「搭乗口に急ごう!」とハナ。

いくつかの搭乗口とその待合スペースを通り越して目指す搭乗口へと早足で向かうのでした。羽田空港の国際線には100以上の搭乗口番号があります。大きな空港なんですね。

シンガポール行きの飛行機が駐機している搭乗口に着きました。まだ高級なクラスのシートのお客さんが呼ばれているところでした。我らがエコノミーの席はまだまだのようです。けれどももうこの搭乗口から離れてはいけません。

「間に合ったね。」

「うん。」

航空機会社と便名を確認しました。

「大丈夫これで行ける!」

「良かった。」

ようやくエコノミー席のお客さんも呼ばれました。みんなぞろぞろと列を作って搭乗口へ向かいます。航空会社の客室乗務員さんはみんなにこやかです。搭乗券を確認されます。そしてようやく飛行機の機内に入ります。二人の席は後ろのほうなので飛行機の通路の奥へ歩いて行きます。

ミナ「あっ!ここだ、ここだ!」

ハナ「やっと座れるね!」

ミナ「到着まで7時間かな?時差はあんまりないんだよね。」

ハナ「そうだね。時差は一時間くらいかな?」

ミナ「時差ぼけしなさそうだよね。」

ハナ「そうだよね。」

そのとき通路の向こう斜め前3席くらいのところにさっき保安検査場で飲み物を一気飲みしていた背の高い若い男性が腰掛けようとしているのが見えました。

ハナ「あっ!さっきの人だ!」

ミナ「えっ?ああ。あんまり見ちゃだめ。」

まもなく機長さんのアナウンスが入り、飛行機は加速。羽田空港を無事飛び立って行きました。

(つづく)

良い旅を!

 

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