千葉・親子旅 4(旅行連載小説短編)

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本当は海ほたるにはいろいろな飲食店やお土産屋さん、コンビニまであり、ゆっくり過ごしても楽しい所のようです。360度のパノラマが味わえてまるで海の上に浮かぶ船のようです。

二人で並んで海を眺めながらアオイはコウドウに訊きました。

「こんなところで言うのも何なんだけどね、お前、進路はどうするんだい?」

「うん、まだ、決まってねえんだけど、親父の跡を継いで大工になりてえと思ってる。」

「そうかい?大学や専門学校に行くんなら行かせてあげてもいいんだよ。」

「うん、本当はちょっと迷ってるんだよな、建築の勉強をするのもいいのかな?とかね。」

「お前の人生なんだからどちらでも自分で決めていいのよ。母ちゃんは何も言わないよ。」

「母ちゃん、ありがとう!」

不思議と素直に話してくれたのでアオイはとてもうれしかったのです。(旅行に誘って本当に良かった・・・。)そう思いました。

再びアクアライン

集合時間が近くなったのでバスに戻りました。全員時間通りに揃ったので定刻どおりにバスは出発しました。

道路はもう海底に潜ることはなく、橋の上で本線と合流したあとは片側2車線の道路が橋のように海の上をずっと続いています。

「はい、皆さまお疲れ様でした。海ほたるいかがでした? 海が良く見えましたか? 本日はお昼がお寿司の食べ放題ということですので海ほたるでお食事をされた方はいらっしゃらないと思いますが、実はいろいろな食べ物のお店がございますので、この次こちらにお越しの際はお食事を召し上がるのもよろしいかと思います。さて、バスの方はアクアラインを走りまして千葉・木更津に上陸いたします。館山自動車道を南下しまして館山方面に向かいます。富津で降りましたらそこがお昼のお店になります。どんなお寿司か楽しみですね。えー、それから、私としましたことがドライバーの紹介をすっかり忘れておりました。素敵な紳士のベテランドライバー佐野でございます。今日一日安全運転で参りますので皆さまどうぞよろしくお願い申し上げます。狭い車内ではございますが皆さまどうぞおくつろぎください。」

 

橋には勾配がついたところもあり正面に海と千葉の陸地が見えるところがありました。コウドウはこんな景色は見たことがなかったのでとても不思議な気分がしました。単調な景色が続きます。とにかく長い橋なのです。陸地が近づいてきました。

木更津に上陸すると木更津ジャンクションからそのまま館山自動車道に入ります。

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「はいっ!バスは無事に千葉県の木更津に上陸することができました。ここで千葉県の産物について少しお話をさせていただきます。千葉と申しますと皆さまが思い浮かべられるのは落花生なのではないでしょうか?千葉といえば落花生ですね。落花生はピーナッツのことです。この落花生の国内作付面積は、昭和40年のピーク頃には66,500ヘクタールもございましたが、平成19年には8,310ヘクタールにまで減ってしまいました。その原因は輸入などの影響が考えられております。そのため、現在では、国内の落花生流通量の90%が外国産になっております。落花生の国内産は約10%程度となってしまいました。けれども国内産の約70%が千葉県で生産されております。畑でゆっくりと自然乾燥された千葉県産の落花生は、味も良く人気がございます。私たちは普段、炒った落花生をいただくことが多いのですが、千葉県のご家庭では生の落花生を茹でていただくことも多いそうです。お好みもあると思いますがそのような食べ方も良いものですね。

それに加えまして、もう一つ千葉県には名産がございます。それは琵琶です。もし5月から6月の間にお越しの場合は美味しく召し上がっていただくことができるかもしれません。それでは、いましばらく車内でお休み下さい。」

木更津から館山へ向かう道は、はじめのうちは住宅街が広がっていて空がとても広く見えました。そのうちどんどん自然の風景が増えてきました。周囲はほとんど森になっていきます。途中いくつかのトンネルといくつかのインターチェンジを通過しました。富浦インターを降りました。

お寿司の食べ放題

「ええ、間もなくお食事会場となるお店に到着です。貴重品はお持ち下さい。お食事のお時間は70分です。お食事の後はご自由に行動していただいて構いませんが、集合時間までにはバスにお戻りいただけますようにお願いいたします。それでは到着です。」

今回お昼を食べるお店は南房総の魚介料理・海鮮料理が専門で寿司、煮魚、浜焼きが自慢のお店のようです。今回はお寿司のみです。

バスを降りてお店に入るとそこは団体客が十分に入ることのできる広さでした。皆が席に着くと、まず店員さんの説明がありました。食べ放題のシステムはまず席に置いてある寿司桶の寿司を食べます。その後は注文票に食べたい寿司と数にチェックの印を着けて食べ終わった器と一緒に店員さんに渡すと、数分で持ってきてくれるというものでした。お水、お茶などはセルフサービスです。

寿司は エビ・まぐろ・サーモン・いくら・ウニ・タイ・ブリ・アジ・卵などでした。握りの大きさは一般的な寿司の二倍。

寿司の鮮度は良く種類も10種類! 他にお惣菜やサラダ、アラ汁、フルーツ、デザートなどたっぷり食べられます。

食べ放題が始まりました。コウドウは黙々と食べています。全般に新鮮な寿司ネタでした。特にウニは美味でした。二人とも始めに出されたお寿司を食べ終わり、注文票で寿司を注文して食べました。

「このお寿司、新鮮でおいしいね!」

とアオイが言うと。

「うめえ!」

とコウドウは一言答えました。

結局、アオイは15貫 コウドウは30貫食べました。

(つづく)

良い旅を!

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