欧州ミュージアム巡りの旅 3(旅行連載小説短編)

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旅の予定

「えーとですねえ、何日ぐらいのご旅行を予定されていますか?」

「そうねえ、まだ決めてなかったんだけどどの位がいいの?あなた!」

チエコはサブローに訊いてみました。

「うん、どのくらいかは考えてなかったなあ。」

「そうですか、では簡単にプランを考えてみましょう、最低限の日程で大雑把なプランをお作りしてみます。それに滞在日数やサービス、オプショナルツアーを足していくことができますよ。」

というと担当者の男性はタブレット端末を使ってさらさらとラフなプランを作って見せてくれました。

「一日目に成田空港からヒースロー空港まで飛びます。この飛行機のチケットをご用意します。空港からロンドン市内まで、送迎の車とスタッフをご用意します。その晩はロンドン市内の宿に泊まります。大英博物館の近くがいいですよね。この宿泊券もお取りします。お食事はどうされますか?

「朝食だけ付けて下さい。」

サブローは妙にはっきりと答えます。

「かしこまりました。それでは朝食だけお付けするようにしましょう。そして2日目は宿で朝食後、終日自由行動です。一日ゆっくりと大英博物館をお楽しみください。昼食と夕食はロンドン市内のお店で召し上がるといいでしょう。ロンドンには世界中の料理店がありますから・・・。市内観光のバスはどうされますか?」

「お願いします。」

「かしこまりました。観光のバスを予約しておきます。その日も同じ宿で泊まります。この宿泊券もお取りします。そして3日目は朝食後、ロンドンの宿からセントパンクラス駅まで、送迎の車とスタッフをご用意します。そこで列車に乗り、ユーロトンネルを通ってパリのパリ北駅まで向かいます。このユーロスターという列車の乗車券をお取りします。軽いお食事が出る席がいいですかねえ。パリ北駅からパリの宿まで、宿の送迎車をご用意します。そしてパリの宿にチェックインします。朝食のみお付けするということでよろしいですか?」

「はい、結構です。」

「それでは3日目の晩にお泊りになる宿をお取りします。ルーブル美術館の近くがいいですね。4日目は朝食後、終日自由行動です。ルーブル美術館をご堪能下さい。お昼と夕食はパリ市内で召し上がるといいでしょう。少し高めですがおいしいお店が多いですよ。その日のパリでの宿泊もお取りします。5日目は最終日。朝食後、パリの宿から空港まで送迎の車とスタッフをご用意します。シャルルドゴール空港から成田空港まで飛びます。この航空券をお取りします。だいたいこんなところでしょうか?」

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旅行社の担当者はラフなプランを書いたタブレットの画面をチエコとサブローの方に向けて見せてくれました。

「なんだか良さそうだね。」

「そうね。」

「そうですねプラスするとすると成田ロンドン間をエコノミークラスからビジネスクラスにグレードアップするとか、三つ星の宿を五つ星にグレードアップするとか、現地観光のオプショナルツアーを付けるとか、昼食、夕食においしいレストランを組み込むとかでしょうか?滞在日数を増やすこともできますね。」

「逆に安くする考え方もありますか?」

サブローがクールに質問します。

「はい、航空会社を正規のものからLCCと呼ばれる格安航空会社にすることもできます。乗り継ぎを一回するようにしても良いかもしれません。宿をB&B(ビーアンドビー)にすることもできます。それぞれデメリットもありますが安くはなりますね。」

「どんなデメリットがありますか?」

「LCCは規約にもよりますが天候不良で欠航でも料金は返金されません。天候の事情で他の空港に着陸した場合、宿泊や移動の保証、代替機への乗り換えなどの保証などはありません。乗り継ぎをすると到着までの時間がかかることと手荷物検査が一回増えることもあり少しだけ手間です。B&Bはほとんど民宿です。朝食もシリアル程度です。」

「そうですか。ありがとうございました。どうするお前。」

「そうねえ、今、作っていただいたとおりでいいんじゃないかしら。私たち若くはないので少し楽な旅の方がいいのではないかと思います。飛行機は格安航空ではなく普通の航空会社でお願いします。でも飛行機は乗り継ぎ一回ありのエコノミーでいいわ。宿はB&Bではない普通の宿でなるべく安くできたらいいですね。」

「そうだね。あと終日自由の滞在についてはロンドンを2日、パリも3日にしてみようか。どうだろう?」

「あなたがそうなさりたいのなら私はそれでいいわ。」

「ありがとう。うん、ではそれで料金を出してみていただけますか?」

「かしこまりました。少々お待ちいただけますか?」

二人は旅行社窓口の椅子に座って待つことになりました。

しばらくすると担当者の方が「こんな金額でいかがでしょうか?」と金額を提示してきました。チエコとサブローは納得したのでその旅行を申し込むことにしました。

「それではこの旅行に参加を申し込みます。大人二人です。どうぞろろしくお願いいたします。」

「ありがとうございます。それでは詳しい内容につきましてはご自宅に郵送させていただきます。お支払いを確認できましたら手配させていただきます。」

旅行社を出た二人は近くのレストランに入りました。

「ヨーロッパへ行くことになったわねえ!」

「そうだね。嬉しいねえ。」

「楽しみね!」

「そうだね!楽しみだね!」

食事をしながら旅への期待を語り合いました。

(つづく)

良い旅を!

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