欧州ミュージアム巡りの旅 6 (旅行連載小説短編)

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出発

いよいよ出発の朝です。

朝食は、調理や片付けの手間がほとんどかからないようにポットのお湯だけがあれば済むように用意しておきました。なので、買っておいたコンビニエンスストアのサンドイッチとインスタントカップスープ、インスタントコーヒーというメニューなのです。それでも二人はおいしく食べました。

準備は万端です。両隣とお向かいのご近所さん合計5軒にはしばらく家を空ける旨を伝えておきました。また、親戚6軒にもそのことを伝えてあります。お土産は事前に注文できる便利なサービスがありましたから、それを利用することにしました。そのためもう家に11箱届いています。念のため予備として5箱買っておきました。いつも配達してもらっている新聞も牛乳も旅行の間は配達しないようにお願いしておきました。チエコは昨日美容室に行ってきましたからとてもきれいな髪型になっていました。サブローも一昨日理容室に行ってきましたからすっきりとしています。二人ともおしゃれをしました。
スーツケースはもう成田空港に送ってあるので持ち物は機内持ち込み用のバッグと身に着けている貴重品入れだけです。もう一度戸締まりと火の用心をしました。玄関に鍵をかけました。

玄関先でサブローはチエコに訊きました。

「パスポートは持ったかい?」

「ええ、持ったわ。あなたは?」

「ああ、ここにあるよ。」

二人でパスポートを確認しあいました。

「航空券とスーツケースの鍵も大丈夫かな?」

「ええ、大丈夫よ。持ったわ。」

お互いに確認し合いました。さあ出発です。

最寄りのバス停まで歩く間、サブローはチエコに訊きました。

「体調はどうかな?」

「ええ、上々よ。あなたは?」

「私もいい調子だよ。怪我のないように気をつけて行こうね。」

「ありがとう。あなたも。」

チエコは夫のサブローが優しい言葉をかけてくれるのが嬉しかったです。新婚の頃を思い出していました。

すぐにバス停に着きました。

5分ほど待つとバスがやってきました。八王子駅行きのバスに乗りました。休日の早朝なので乗客はまばらです。八王子に着くとバスを降りて駅までほんの少しだけ歩きます。

8時過ぎに中央線の特急あずさに乗りました。いつもなら特別快速などで都心に行くのですが今日は特別です。特急の指定席はとても快適です。スムーズに東京の景色は後方へ流れていきます。

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新宿駅で特急あずさを下車します。ゆっくり歩いたので乗り換えには10分以上かかりました。成田エクスプレスに乗り換えるのですが、少し待つことになりました。乗り換えに余裕を見て切符を買っておいて良かったです。

ホーム上の売店で暖かい緑茶を購入しました。二人で飲みながら列車を待ちます。

成田エキスプレスが入線してきました。周りを見るとスーツケースを持った人が多いです。
お昼前には成田空港に到着しました。

成田空港にて

「やっぱりスーツケースを送っておいたのは正解だったわね。乗り換えの時に階段を歩くときとても楽だったわ。」

「そうだね。良かったね。」

スーツケースを受け取りました。

ガラガラとスーツケースを転がしながら頼んでおいた旅行社のカウンターに向かいました。幅の狭いカウンターが立ち並んでいる一角に行きました。各社のカウンターがズラッと並んでいます。参加するツアーのマークはすぐに判りました。

「あのう、申し込んでおいた鈴木と申しますが・・・。」

「はい、イギリス・フランスの自由旅行プランですね。承っております。」

「パスポートと航空券をお見せいただけますか?」

「チエコとサブローはパスポートと航空券を渡しました。」

「はいっ。大丈夫ですね、それではこの荷物札をスーツケースに取り付けてください。」

その後、これから成田空港ですること、荷物検査、税関、出国審査、搭乗ゲートなどについて説明がありました。また、トランジットと呼ばれる乗り換えのことやロンドン到着後のことについてお話がありました。

荷物をチェックインして搭乗口に向かうように言われましたからチエコとサブローは航空会社のカウンターに向かいました。

ここでもパスポートと搭乗券の提示を求められました。スーツケースは重さを計られるとベルトコンベアーで流れて行きました。

搭乗まで時間はありそうでしたが、まずは荷物などの保安検査、税関、出国審査を先に済ますことにしました。特別なことはなく、淡々と済ませて行きます。出国審査の際、係官さんが笑顔でチエコに言ってくれました。

「お気をつけて!いってらっしゃい!」

チエコは少し緊張していたのでその言葉がなんだか嬉しくてほっとしました。

サブローは乗り場をを確認すると言ってチエコを搭乗ゲートの方へ連れて行きました。無事に確認できました。搭乗まで時間も少しありそうです。

「さて搭乗ゲートも確認したしお昼にしようか?」

「そうですね、大分お腹も空きましたよ。」

和食店を見つけることができました。二人で天丼を食べました。

食べ終わると出発まで30分位になりました。
「空港内のアナウンスだと、もう搭乗が始まっているようだよ。」

とサブローは言いました。

(つづく)

良い旅を!

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