欧州ミュージアム巡りの旅 34 (旅行連載小説短編) 

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※ 写真はイメージです。

眠る前に

「明日一日でパリの観光もおしまいだね。」

「なんだか寂しいような気持ちがするわ。」

「どこか行きたいところはあるかな?」

「この界隈にお店がたくさんあるから少し歩いてみたいわ。あとシャンゼリゼ通りを歩いてみたいな。」

「ああ、それ楽しそうだね。よし、明日はそうしようね。」

その晩はゆったりと過ごしてから休みました。

翌日・サブローの異変!

チエコが目を覚ますとサブローは荒い息をしていました。

「あなた、どうしたの?」

「うん、気分が悪いんだよ・・・。」

サブローを見ると真っ赤な顔をしています。

「熱があるんじゃないの?」

あわててスーツケースの中の救急箱から体温計を出します。

「計ってみて。」

サブローに体温計を渡します。脇にはさんで計ってみます。
しばらくたって「ピピピ!」と電子音が鳴ります。

「38度5分もあるわ。」

「おおっ。」

とサブローが驚きます。

「どうしましょう。お医者さんに行きますか?」

「うん。」

「立てる?」

サブローはベッドに腰かけて立ち上がろうとしますが力がうまく入りません。転んでしまいました。

「大丈夫?」

チエコが支えて起こします。

「寝ていれば治ると思う。」

「いや、寝ていても治らないと思うわ。」

「そうかなあ。」

「お医者さんに往診してもらいましょうか?」

「うん・・・。」

 

サブロー往診を受ける

チエコはフロントに行き、医師を呼んで欲しいとお願いしました。チップを渡しました。
どこの海外旅行傷害保険に入っているか聞かれました。入っている会社名を伝えると1時間で来てくれるとのことでした。

部屋に戻ったチエコにサブローは言いました。

「1時間で来てくれるそうよ。どこの会社の海外旅行傷害保険に入っているか訊かれたわ。」

「そうかあ、保険に入っておいてよかったね。」

「ええ。日本の保険会社に電話してどうしたらいいか指示を受けるね。」

「そうだね、頼むね。」

チエコは日本の保険会社に電話しました。

それによると、まずは、往診してきた医師に保険番号、名前、保険対象期間を確認できる海外旅行保険の契約書とパスポートを見せるように言われました。また、診断書を書いてもらう必要があること、薬については領収書が必要なこと、かかった経費は支払われることがあるので領収書を取っておくこと。などの指示を受けました。

( ※ 保険会社や契約の内容によって必要な書類や手続きの方法が異なる場合があります。)

一時間後に医師が到着しました。一通り診察してくれました。結局、風邪による発熱とのことでした。薬の処方箋を書いてくれました。それを飲んで今日一日休んでいれば明日までに熱は下がるから飛行機に乗って帰ることができるとのことでした。チエコは落ちのないように書類を受け取りました。医師は笑顔で「オダイジニ!ヨイタビヲ!」と日本語で言って帰って行きました。

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チエコ買い物に行く

「チエコ、いろいろありがとう。ごめん。観光、台無しになっちゃったね。」

「ううん、大丈夫。」

「君だけでもお買い物に行っておいでよ、この辺りでも昼間なら気をつければ危なくなさそうだから。」

「うん。必要なものだけ買いに行ってくるね。すぐ近くにお店があったから。」

「ありがとう。気を付けて行ってきてね。」

チエコは冷たい水で冷やしたタオルをしぼってサブローの額に載せました。

「じゃあ、ちょっと行ってくるね。」

チエコは宿の人に医師の処方を実施してくれる店舗を教えてくれるようにお願いしました。200メートルほどのところにあるということでした。チップを渡しました。さっそく行ってみます。教えられたとおりロンバール通りを行き二本目の道を右折するとすぐに調剤の看板がありました。
医師に渡された処方箋を渡して調剤してもらいました。
どうやら解熱鎮痛剤と抗生物質、胃腸剤が出されたようです。必ず食後に服用するように言われました。お礼を言って店を出ました。近くのお店をのぞいてみたらプリンを売っていたのでいくつか買い求めました。急いで部屋に戻ります。

「ただいま!」

サブローはまだ顔を赤くしてあえいでいます。額に載せたタオルはとても熱くなっていました。タオルを取りました。サブローを座らせます。

「プリンなら食べることができるわよね。」

「ああ、ありがとう。」

「サブローはプリンを食べました。」

「これ、飲んでね。」

チエコがサブローに処方されたものを渡しました。ミネラルウオーターをコップに注いでサブローに渡します。サブローは飲みました。

「これで熱が下がるといいわね。」

「ああ、少し休むよ。」

サブローはまた横になりました。
チエコは冷たい水で冷やしたタオルをしぼってサブローのおでこに載せました。

あとは必要なものを調達しなければなりません。
慣れないスマートホンを使って近くのスーパーマーケットの場所を調べました。300メートル位のところにあるようです。

サブローが完全に眠ったのを確かめてチエコはもう一度出かけました。
すぐにスーパーマーケットの場所は判りました。スーパーマーケットのカゴに必要なものを次々と入れます。ゼリー、やわらかいパン、キャラメル、チョコレート、カップスープ。昼食用のサンドウィッチ、ミネラルウォーター、スポーツドリンク、ウエットティッシュ。

「こんなところかしら。」

レジではクレジットカードで精算しました。
チエコは買ったものを持って部屋に帰りました。

チエコ部屋に戻る

サブローは良く眠っています。顔色は少し赤みが引けているように見えます。タオルはすっかり熱くなっていましたので冷たい水でしぼってまた額に載せました。体温を計ると38度でした。幾分か下がっているようです。

その後、チエコはサブローのそばにずっと付き添っていました。

(つづく)

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良い旅を!