メイの相談
「それじゃあ、ついでに私の相談にも乗ってもらえるかな?」
「ええっ? メイは問題解決が仕事なんでしょ? 悩みなんてあるの?」
「それがあるのよ。自分のことならなんとかなるんだけどね、家族のことだとからっきしで・・・。」
「お察ししますわ、家族のことは難しいですよね・・・。」
「じゃあ今度はメイのお話を聞きましょう。私達が解決してあげられるといいんだけど・・・。」
「ありがとう! じゃあ始めるね。」
「うん。」
「まあ、一言で言うと母と祖母の問題ね、つまり嫁姑(よめしゅうとめ)問題。まあ皆には興味ないだろうし、私も当事者ではないんだけどね・・・。でも、家の雰囲気がおかしくなるから仲良くして欲しいんだよね。」
「それって難しいよね、人類の永遠のテーマだよね。」
「でも、嫁姑問題はどの家でも多かれ少なかれあるんじゃないかしら。」
「姑さんとしては大事な息子さんをお嫁さんに取られたような気がするらしいよ。」
「それじゃあ気分も良くないですわね。」
「そして、お嫁さんとしては干渉して欲しくないわけ。」
「なるほどね、それならどちらも言い分があるわけですわね。」
「まあね。でも、うちはちょっとひどくて、おばあちゃんが我が家の伝統の味だと言ってお母さんが作った料理の味付けを変えてしまったり・・・。おばあちゃんが洗った食器をお母さんが洗い直していたり・・・。仲が微妙なのよこれが・・・。」
「他にはどんなことがあるの?」
「おばあちゃんは煮物や漬物、魚料理なんかを作りたがるんだけど、お母さんはポトフにマリネ、肉料理を作りたがるの。夕ご飯のメニューを巡って毎日が大騒ぎ。おじいちゃんもお父さんも私も兄弟達も何も言えなくてね・・・。」
「それはたいへんですね。メイのお家は三世代同居なんですね、昭和の頃にはよくあった家族構成で楽しそうなんだけど、実際はそうでもないみたいなのですね・・・。」
「そうね、メイの話を聞いているとね、なんだか食べることの問題が多いような気がするのよね。」
「そう言われてみるとそうかも。」
「よく言われていることなんだけど、二世帯同居で台所が一つだと、例えて言うなら船頭さんが一つの舟に二人いるようなもので、どうしてももめてしまうって言うよね。」
「そうですね、世代も違うようですので食べ物のお好みも違ってきますよね。」
「メイ! もしかしてなんだけどさあ、台所を二つにして[おじいちゃん・おばあちゃんチーム]と[お父さんお母さん・子供さん達チーム]に分けてみたらどうかなあ? そしたらもめなくなるような気がするよ。」
「そうか、それいい方法ね!私の家は一軒家で台所を建て増しするくらいの敷地ならあるから、それ、できるかも!」
「それがいいですわね!」
「でもね、嫁姑問題は根深いから、それだけですべてが解決する訳ではないかも・・・。」
「そうなの?」
「うん。本当はね、さらに二つの世帯の間に2枚の扉を造ることが大事なの。[おばあちゃんとおじいちゃん]だけが鍵で管理できる扉と、[お父さんお母さん・子供さん達]だけが鍵で管理できる扉を両方造ることができたらベストなんだけどね・・・。」
「家の玄関が別々で家の中は壁で完全に分離しているというのでも良さそうですね。要するに、それぞれの世帯のプライバシーを守るということですね。」
「そういうことね。」
「う~ん扉かあ・・・。ちょっと難しいけど我が家の未来のためだから頑張ってみるね! 家に帰ったらさっそく家族会議をするね! ありがとう!モナ!ルリ!」
「どういたしまして。距離を取ったら関係が良くなった例も多いから頑張ってね!」
「うん、頑張る!」
「上手くいくといいですね!」
「うん!」
「これでメイの問題も解決ね! ソリューションの方法が見つかったって言うのかな?」
「そうだね、なんだか帰るのが楽しみになっちゃったよ!」
モナが紅茶のおかわりをそれぞれのカップにそそぎました。甘いお菓子も追加しました。
(つづく)
良い旅を!