シンガポール・ホリデイ⑨(旅行 連載小説 短編)

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帰国

シンガポールは日本の真夏ですが日本はとても寒い真冬の二月です。気温も低いのです。機内にいるうちに皆、セーターを手荷物から取り出して着たりして防寒対策をしました。

ターンテーブルでのスーツケースの受け取り、検疫、税関、入国審査はすべてスムーズでした。今回のツアーの場合、羽田空港で流れ解散のパターンです。

空港のターミナルビルのロビーでミナとカイトは軽やかにハナとリクトに手を振ると二人一緒にそそくさと帰って行きました。

ハナはリクトと話します。

ハナ 「リクト!私もまたリクトと会いたいよ!」

リクト「ホント?うれしいな!ありがとう!ハナ!」

ハナ 「リゾートとかで出会ったカップルは別れやすいって言うよ?」

リクト「試してみる? 僕とハナなら大丈夫だと思うよ!」

ハナ 「出会ってまだ3日だよ?」

リクト「きっと大丈夫だよ!」

ハナ 「そうかな?」

リクト「そうだよ!」

リクト「だって、カイトとミナが引き合わせてくれたんだから。」

ハナ 「そうだね、なんだか大丈夫な気がしてきたよ。」

リクト「だよね?」

ハナ 「だよね!っていうかリクト! カイトとミナが私たちを引き合わせてくれていたこと知ってたの?」

リクト「初めは知らなかったけど、植物園の回廊やレストラン、動物園の徒歩コ-ス、そして今も、ワンパターンな方法でいつも二人きりにしてくれていたよ。だからそうなんじゃないかなと思ったんだよね。」

ハナ「そうかあ、それなら私よりも先に気が付いていたのね。」

リクト「なんとなくだけどね。それにしてもあの二人はどういう関係なんだろうなあ?」

ハナ 「帰りのチャンギ空港で本人たちから聞いたんだけど、あの二人は幼なじみなんだって、今度結婚するらしいよ!」

リクト「まじで? そこまではわからなかったなあ。そうか、そういうことか・・・。うん、でも、それはよかったね。」

ハナ 「ということはカイトはリクトにちゃんと『ミナと結婚する!』ってまだ言ってないってこと?」

リクト「そういうことになるね・・・。」

ハナ 「だめじゃんカイトも、ミナのことを『 あいつ大事なことを親友には意外と言い出せないんだよな。』とか言ってたのに自分も言えてないよ・・・。」

リクト「二人はよく似てるのかもね。」

ハナ 「そうかもしれないね。」

二人は少し微笑みあいました。

リクト「でもミナとカイトに感謝だね。」

ハナ「そうだね。ありがとうだね。」

エピローグ

都心まで行ける空港専用のバス乗り場に着きました。とても寒い中、何か白いものが見えたのでハナとリクトは空を見上げました。ほんのわずかですが雪が舞っています。

ハナ 「あっ!雪!」

リクト「ほんとだ、寒いわけだね!」

ハナ 「積もるかなあ?」

リクト「このくらいならまだ積もらないかな。」

二人はバスに乗りました。明るくて活気ある熱帯の風景を見てきた二人には、冬の東京の風景はとても静かで落ち着いたものに見えました。

バスはスムーズに新宿に着きました。バスから降りた二人は話します。

リクト「ハナ!おなかすかない?」

ハナ 「ちょっとすいたかな?」

リクト「なんかあったかいもの食べてから帰る?」

ハナ 「そうだね。何がいいかな?」

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リクト「お姫様となら何でもいいですよ!」

ハナ 「なにそれ! お姫様じゃないよ。ハナだよ(笑)」

リクト「じゃあ、ハナ!とりあえず歩こうか!」

ハナ 「うん!」

(了)

あとがき

お話を最後までお読みいただきありがとうございました。

シンガポールの各種状況につきましてはどんどん変化することも多いです。ご旅行前にしっかりお調べいただいてから行かれるほうがよろしいかと思います。また、この作品はフィクションではありますが、可能な限り正しい情報をお伝えすることができるように吟味して書いています。ですが、元サイトの情報が間違っていることもよくあります。必ず情報はご自分でお調べいただき、正しい知識でご旅行いただけると幸いです。

今回、お話の中では一日であれだけの観光をしている設定になっておりますが、実際にシンガポールへ行った人の話では、かなり難しいのではないかとのことでした。特にチャンギ空港がとても広いことと植物園が本当に広大であるので実際には移動がとてもたいへんで思いのほか時間がかかるのだそうです。買い物もたいへん人が多いので思うようには行かないようです。また、昼間は本当に暑いので、実際にはこのお話のように動き回ることはできないし、熱帯地域では暑い中を動き回ってはいけないというのが暗黙のルールのようです。お話の中でハナたちは平気でジュース類を飲んでいますが、彼女たちは信じられないほど胃が強い設定になってしまっています。実際に行った人の話では日本人は胃が弱いので信用のおける宿やレストランの飲み物、もしくは衛生的なペットボトルのミネラルウオーターが良く、それ以外の飲み物は極力避けたほうが良いと現地ガイドさんにアドバイスされたそうです。これは東南アジア全域で言えることですが、飲み物内の氷は入れないように注文するのもコツだそうです。筆者は海外で水に当たり3回ほど寝込んだことがあります。

自由行動の場合はくれぐれも余裕のある計画を立てましょう。その点パック旅行で観光が付いているタイプなら安全、安心、衛生的、快適に旅を楽しませてくれます。やはりプロですね。

今回の作品を書くにあたり、筆者は手元の資料や実際に行った人からの取材、ネット上の情報、ユーチューブの映像、ネット上の地図などを参照しながら書いてみました。しかしながら、現地の空気感や風の香り、潮風の感じ、光線の感じ、料理の風味や味、聞こえる音、英語や外国語の響き、街のにぎやかさなどは、やはり現地へ実際に行った人にしか感じることができないものです。ちょっとしたトラブルとその克服や、お店で面白い商品を見つけたときの喜びなども実際に行かないと体験できないものです。だからこそ実際に現地へ旅行することに意味があるのですね。

皆様に楽しくお読みいただこうと思って書いていましたが、シンガポール関係のホームページを調べているうちに私自身も本当にシンガポールへ行ってみたくなってしまいました。このお話はフィクションですが、ハナやリクトたちが体験した植物園や動物園は実在するものです。室内ジャングルの中の滝や夜の猛獣の動きなど、心から見たくなってしまいました。旅って本当に良いものですね。

これからも旅行に関する様々な文章を書いて参りたいと思います。もしよろしければまたお読みいただけますと幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!

良い旅を!

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