シンガポール・ホリデイ⑧(旅行 連載小説 短編)

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帰りのチャンギ空港にて

出国手続きとスーツケースのチェックインを済ませて、制限エリアに入りました。

ハナとミナはお目当てのブランド品を購入しました。ハナはハンドバッグと化粧品。ミナは腕時計と靴と化粧品を買いました。

空港内には様々なお店がありました。購入はしませんでしたが素晴らしい品揃えです。紅茶、クッキー、漢方の軟膏、つばめの巣ギフト、ポークジャーキー、飛行機のおもちゃが入ったチョコレートの卵、えび味のはるまき風お菓子、名所の絵の付いたコースター、観光地の絵の付いたマグネット、可愛くデフォルメされたマーライオンの置物、シンガポールならではの飲料、ポテトフライ、シンガポールの郷土料理を作ることのできるキット、シンガポール風味のカップ式即席麺、チョコのお菓子、ドロップなどなど・・・。もしもお土産を買い忘れていてもここでなんとかなりそうですね(笑)

ミナの告白

ミナはお土産を見に行ってしまい、リクトはトイレに行ってしまったので、ハナとカイトが二人で皆の帰りを待っていることになりました。

カイト「この旅はどうだった?」

ハナ 「おかげさまでとても楽しかったですよ。」

カイト「そうか、そりゃ良かったなあ。」

ハナ 「私たちはあまりお話できませんでしたね。」

カイト「そうだね、俺はミナだけで手一杯だから(笑)」

ハナ 「そうなんだぁ(笑)」

カイト「ところで、ミナから特別なことを何か聞いてる?」

ハナ 「えっ?特別なこと?何にも聞いてないですよ。」

カイト「やっぱり。あいつ大事なことを親友には意外と言い出せないんだよな。」

そのときミナがおみやげの袋を手にぶらさげてにこやかに戻ってきました。

カイト「ミナ、大事なこと、まだ話してないんじゃないのか?」

ミナ「そうなんだよう。なんだかうまく言い出せなくて・・・。」

カイト「じゃあ俺が言う?」

ミナ「いいよ、あたし自分で言うから。」

ハナ「・・・?」

ミナ「ハナ! あのね、あたし、カイトとね、・・・ 結婚するんだよ。」

ハナ「へえそうなの? 驚いた! ・・・ でも良かったね! おめでとう!」

ミナ「ありがとうね! 言うのが遅くなってごめんね!」

ハナ「ううん。いいよ。気楽に言ってくれればよかったのに・・・。それにしても急だよね。」

ミナ「それがそうでもなくってさぁ、本当はカイトは幼なじみなんだよね。だからあたしも好きだとか自分でも気づいてなくて、数ヶ月前に自分の気持ちに気づいちゃってさぁ、だから急な感じになっちゃったんだよね。」

ハナ「そうだったの?でもやっぱり良かった。お幸せにね!」

ミナ「ありがとうね!」

ミナ「私、ハナにも幸せになってほしいんだよ。リクトのこと、もし好きなら頑張ってね、あたしたち応援してるから。」

ハナ「うん、ありがとう!」

ミナ「うん。」

ハナ「あれっ?さっきミナはカイトと幼なじみって言ったけど、この旅行で初めてカイトたちにあったときに『はじめまして!』って言ってたよ。」

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ミナ「そうね、カイトは確かに初対面じゃなかったけれど。あたし、リクトに会うのは本当にはじめてだったんだよ。でも、だますようなつもりではなかったんだよ、ただ、自然な感じで二人には出会って欲しかったから・・・、ごめん・・・。」

カイト「ああっ、俺もごめんな、あれはねなんとなく、その場のノリでそう言っちゃったんだよなあ。ミナと俺はずいぶん前からハナとリクトに出会ってほしかったんだよね、でも、なかなか機会がうまく作れなくて、で、今回婚前旅行に行くことになっていたんだけれど、それならいっしょにどうかなって・・・。自然に旅で出会いましたっていう雰囲気にしたかったっていうか・・・。ごめん・・・。」

ハナ「そうだったの・・・。」

少しの間ハナはうつむいて今までのことを大急ぎで考えました。

ハナ「ミナ、カイト、心配してくれてありがとう。リクトと出会わせてくれて本当にありがとう。うれしかったよ。私頑張るね!」

ミナ「良かった、こちらこそありがとう!」

カイト「リクトを頼むよ!」

そのときリクトが戻ってくるのが見えました。まもなく搭乗開始の時間なので全員で搭乗口へ向かいました。

帰国便の機内にて

4人を乗せた飛行機は無事にチャンギ空港を離陸しました。羽田に向けて飛んで行きます。

席はハナとミナが隣同士、リクトとカイトが隣同士でそれぞれ座りました。元々のチケットどおりの席です。

ハナはリクトのことが好きです。日本に帰ってもまた会いたいと思っています。そして、どうやってこの思いを伝えたらいいのか懸命に考えていました。けれどもどうしても良いアイディアが浮かびません。日本に着く前に普通に話すのがいいのかな?それとももっと良い方法があるのかな?すっかり困ってしまいました。

通路側に座っていたミナがトイレに立ったときに、すっとミナの席へ誰かが座る気配がしました。ハナがふっとそちらを見るとそこにはリクトが座っていました。ハナはどきっとしました。

リクト「ハナ?」

ハナ 「ああっびっくりした。何?」

リクト「これ読んでくれるかな?」

リクトは折りたたんだ紙片をハナに手渡しました。

リクト「いろいろありがとうね!ハナのおかげでこの旅行とても楽しかったよ!」

ハナ「リクト、私も楽しかったよ!」

リクト「じゃあね。」

リクトはミナが戻ってくる前に席を立って自分の席に戻って行きました。

折りたたんだ紙片を開いてみました。何かメモ書きがあります。

[ ハナさんへ 日本でもまた会いたいです。もし良かったら、ご連絡ください! リクトより ]と書いてありました。
その下には携帯電話の番号とメールアドレスが書いてありました。

ハナは嬉しかったです。石のように固まって何度も読み返してしまいました。

いつの間に戻ってきたのかミナが隣の席に座り、覗き込んで一緒にリクトからのメモ書きを読んでいました。

ハナ「えっ?」

ミナ「おめでとう!良かったじゃん!」

ハナ「そうだね。ありがとう!」

その後無事に飛行機は羽田空港に到着しました。

(つづく)

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