シンガポール・ホリデイ⑥(旅行 連載小説 短編)

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夜の動物園へ

集合時間になりそうなのでハナとミナは部屋を出るとエレベーターでロビーに降りました。ロビーではリクトとカイトがもう待っていました。ソファーに腰掛けて談笑しています。カイトは二人に気がつくと笑顔で大きく手を振ってくれました。リクトもなんだかうれしそうです。

4人はタクシーに乗ると夜の動物園に向かいました。30分ほど走ると、5時半には到着しました。たぶん早いほうだと思います!まだ明るいです。昼間よりは少し気温が下がったような気がします。

ちょうど開門したところのようでした。

さっそくチケットカウンターで夜の動物園単体チケットを購入します。トラム乗車料を含む金額でした。日本語表記があるのでわかりやすいです。それと、日本語マップがうれしいです。

さらに左側にあるレセプションで日本語トラムの予約をしました。

今回はこれで一番早い時間の入園ができることになりました。もっと有利なチケット購入方法もいろいろとあるようです。事前購入できるチケットや割引クーポン券もあるらしいです。

今回は時間が無さ過ぎるので夜の動物園単体のチケットを購入したのですが、時間に余裕があれば昼の動物園と夜の動物園の2施設が観られるチケットとか4施設が観られるチケットもあって便利なようです。

この動物園は1994年に造られたそうです。世界初の夜行性動物の動物園です。敷地は40ヘクタール。130種類の動物が1,000頭以上います。ジャングルを生かして造られたとても広い動物園なのです。

園内ではフラッシュを使った撮影は禁止されています。

動物園の入り口付近を背景に記念写真を撮りました。この旅行中写真ばかり撮っていたリクトが言います「動物園の中では写真は撮らずに心のカメラに収めておくね。」

お食事

開園までにはまだ時間があるので、まずはレストランで腹ごしらえです。

ミナ「なんだかどれもおいしそうだけど高いね。シンガポールは物価が高いよね。旅行代金は安かったけれど、自由行動の交通費だとか、入園料、食べ物、おみやげとかどれをとっても高いよね。時間があればもっと安い移動手段もあるし、お得なチケット入手方法だってあるし、お買い物も有利な買い方があるような気がするのよね。」カイトが言います。「まあそう言わずに、楽しもうよ。この日程にしたのは全員同意の上なんだから。」

清涼飲料水で乾杯しました。

先ほどはミナの苦情(?)をなだめていたのにカイトも似たようなことを言います。

カイト「それにしても空港も植物園も広すぎだよね。意外に時間がかかっちゃって、途中早足だもんね。植物園は暑かったよな。今日の計画は絶対無理があるって。昼間は本当に暑いからそんなに早く動けないんだよなあ。」

リクト「そうだねえ、普通だったら2日くらいに分けてもいいくらいだね。」

ハナ「私はもっとゆっくりお買い物したかったなあ。駆け足だったもんね。」

その後もこの旅のことを話して大盛り上がりしました。

カットフル-ツやジェラートもおいしそうでしたがおなかいっぱいでしたから買うのはやめておきました。
開園の15分前には入場門前に行きました。

ショーを観る

まずは夜の一番早いショーが始まる15分前に夜のショーを行う会場に入ります。右端でしたが一番前の席が確保できました。ショーがはじまります。すべて英語です。でも、なんとなく動物たちを見ているだけでも意味は解ります。カワウソのゴミの仕分け、サーバルのジャンプ、ジャコウネコの木の実探し、他にもオオカミ、アライグマが登場しました。夜行性動物の習性や捕食能力がよく解りました。巨大な蛇と観客の記念撮影もありました。

ハナはリクトのとなりでほんの少しどきどきしながらショーを観ていました。ときどきリクトと目が合うとリクトが微笑むのでハナも微笑んでしまいました。ショーは大盛況のうちにお開きになりました。

トラムで夜の動物園を観る

トイレを済ませて4人はトラムの乗り場に移動しました。15分ほど並んで日本語のトラムに乗車しました。カイトが一番前に乗りたいというのでなるべく前の席に乗りました。動物園のガイドさんが解説するのと同時にその動物を見られるので良かったです。

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アジアライオンやジャッカルの吠え声が響き渡り、巨大なインドサイの足音もドスドスと聞こえます。マレーバクやスイギュウが闇の中から突然現れるなど、昼間の動物園ではちょっと感じることのできない動物の夜の姿がとても興味深いです。

コースの中ほどの貯水池とジャングルの風景もすばらしいです。池の近くでキリンやシマウマがたたずむ姿はとても幻想的でした。

ハナはリクトの隣で座っていましたが、ライオンなどの猛獣のほえ声が怖くてリクトのほうへ少し身を寄せてしまいました。リクトの腕にハナの腕が触れています。リクトの体温を感じます。ジャッカルがほえたときビクッとしてしまいました。するとリクトはやさしく手を握ってくれました。

リクト「大丈夫だよ!僕がついているから・・・。」

ハナ「うん、ありがとう。」

トラムは45分ほどかかりました。

徒歩で夜の動物園を観る

そのあとは徒歩で歩くコースになります。4つのコースがあり合計で1時間半かかるようです。

ハナは4人でまとまって歩くのかな?と思っていました。ところが・・・。

カイト「それじゃ、俺らは先に行くから、ここで1時間半後に集合な。リクト、ハナをたのむぞ!ハナはリクトから離れるなよ!」

と、ごく自然に言うと二人の返事を待たずにカイトとミナはさっさと歩いて行ってしまいました。

リクト「また、このパターンだね。」

ハナ「そうね。植物園のときもこんなんだったかな?」

リクト「まあ、僕たち、いや私たちも行きますか?」

ハナ「はいっ。行きましょう!よろしくお願いします!」

リクト「かしこまりました、お姫様!」

ハナ「あっ、それカイトがタクシーで言ってたのだよね。」

リクト「わかった?」

二人で笑いあいました。

手をつないで歩き始めました。暗い中をリクトと二人で歩いているとハナはなんだかわくわくして楽しい気分になってきました。

二人は夜の動物園を歩いて行きます。

フィッシングキャット、コツメカワウソ、ワニ、ペリカンなどがいました。どれも活発に動いています。小さなマメジカがいました。

ハナ「かわいいねえ!」

リクト「そうだねえ!」

ヒョウ、ウンピョウ、ヤマアラシがいました。

オウゴンヤマネコは 目が光って驚きました。活発に動いています。

シカイノシシ、ボンゴがいました。

夜のハイエナはとても不気味でした。本能的に嫌な感じがするのですね。

マレートラは水浴び中でした。珍しい姿を見ることができました。

オオコウモリがいました。

ムササビがいました。

ハナ「あっ、飛んだ!」

リクト「あっ、飛んだね!」

ハナ「私、ムササビが飛ぶの初めてみたよ。」

リクト「僕もだよ。すごいね。鳥じゃないのに飛べるんだねえ。」

ワラビーもいました。昼間の姿とは一味違う雰囲気でした。

リクトとずっと手をつないで歩くことができてハナは幸せでした。

ハナは日本でもまた会いたいと言いたかったのですが、どうしても言い出すことができませんでした。

入り口に戻ってくるとミナとカイトが待っていました。

ミナ・カイト「お帰りなさい!」

ハナ・リクト「ただいま!」

ギフトショップで買い物

ギフトショップで買い物をすることになりました。ハナとリクトは同じデザインのストラップが気に入って一緒に同じものを一つずつ購入しました。またハナは小さなトラのぬいぐるみも買いました。

宿に帰る

動物園を出たら9時過ぎでした。昼間よりはかなり涼しく感じます。

タクシー乗り場からタクシーに乗り宿へ帰ります。

明日はいよいよ帰国です。

リクト「今日はありがとう、ハナのおかげで楽しかったよ、おやすみ!」

笑顔でそう言ってくれました。

ハナ「私も楽しかったよ、おやすみなさい!」

ハナも笑顔で言いました。

部屋に入ると朝、すぐに出かけられるように荷物の整理をしました。

とても過酷なスケジュールだったのでいくら若いといってもくだびれました。ハナもミナもシャワーを浴びてすぐに眠ってしまいました。

(つづく)

良い旅を!

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