シンガポール・ホリデイ④(旅行 連載小説 短編)

スポンサーリンク

『シンガポール・ホリデイ』のもくじへ戻る

パダンからマーライオンガーデンへ

リクトが話しかけてくれたのでハナは少し気分が良くなりました。パダンからマーライオンガーデンまでは頑張れば歩ける距離とのことなのでみんなで歩くことにしました。あいかわらずミナはカイトと話し込んでいるのでハナとリクトは一緒に歩いています。

ミナとカイトの二人は仕事の話や趣味の話をしました。リクトの趣味はオートバイに乗ることと美味しいものを食べることだそうです。ハナの趣味は旅行と買い物、それと料理だと話しました。

マーライオンガーデンに到着しました。ここにはマーライオンがあり水を噴いています。先ほど見たランドマークになっている宿泊施設とマーライオンを一緒に撮影することができました。ミナとカイトはツーショットで撮りたいというのでリクトが撮ってあげました。ミナが強く勧めるのでハナはリクトとのツーショット写真を撮ってもらいました。ハナはなんだかほんの少しドキドキしました。マーライオンの後ろにはもう一体、小さなマーライオンがいました。なんだか可愛くてハナは何枚も写真を撮ってしまいました。このあと海岸沿いにある比較的新しい植物園に向かいます。

比較的新しい植物園

入園は無料だったので皆でスムーズに中へ入りました。空中回廊のような巨木(ツリー)に登るチケットと屋内植物園、岩山を含む森を表現した屋内植物園のチケットを購入しました。

ミナは「まず、ツリーに登ろうよ!」と言いました。

「ツリーは12本あって最高16階立て相当の高さなんだって!すごいよね!」

ミナは不思議にはしゃいでいます。

皆で空中回廊のあるツリーに向かいます。エレベーターに乗って登ります。1Fの次は2Fの表示が出て扉が開きました。もう空中回廊の高さになっていました。回廊は屋根も壁もありません。手すりはありますが風が通る構造なので少し風を感じます。

高いところが少し苦手なハナはドキドキと心臓が高鳴り、足がすくみました。ミナとカイトはさっさと二人で歩いて行ってしまったので頼りになりません。リクトはあたりの景色を眺めて興奮していました。「すごいね、園内が良く見えるよ!」ハナが返事をしないので振り向いてみるとハナが小さく震えています。リクトはハナに駆け寄りました。「ハナさん平気?」「私、あんまり平気じゃないよ・・・。」ハナは青ざめています。そのとき突風が吹き抜けました。「あっ!」ハナはバランスを崩しそうになります。リクトはハナが倒れるのではないかと思い、とっさにハナの腰に手をまわしてハナの体を支えました。(ハナはとても柔らかいな・・・。)とリクトは思いました。

リクト「手をつないで行こう!」

ハナ「うん・・・。」

手をつないで歩き始めたとき、ハナはまだドキドキしていましたが、それは高さがこわいだけではなく、もしかしたらリクトがそばにいるからなのではないかと感じていました。

スポンサーリンク

落ち着いて周囲を眺めてみると他のツリーがいくつも見えます。まるでジャングルの上を歩いているようです。リクトの言うとおり植物園内が良く見えます。また、ランドマークになっている巨大な宿泊施設や商業ビル群も良く見ることができます。これらウォーターフロントの景色はそれはそれは美しく息をのむほどです。

「今夜は来ることができないけど、この植物園はライトアップが夜遅くまであるらしいよ。周囲の夜景もきれいなんだって!」とリクトが教えてくれました。

やっと反対側のツリーに到着したときにはハナは少しほっとしました。エレベーターの前でミナとカイトが待っていました。ハナとリクトはあわてて手を離しました。ハナは急にリクトの手のぬくもりが消えてなんだかさみしい気持ちがしました。一瞬リクトを見たらリクトと目が合いました。ドキッとしてあわてて目をそらしました。

屋内植物園

屋内植物園には世界中の砂漠に生育している植物が集められています。地中海地方の乾燥した涼しい気候を再現しています。面白い形態の植物を見つけては皆で盛り上がりました。

岩山を含む森を表現した屋内植物園

屋内に霧に包まれた標高35メートルくらいの山が造られています。そこはとても豊かな植物たちに覆われています。屋内ですが滝が流れています。滝の高低差は大きく、人工の室内滝では世界一だとされています。ここには標高2,000メートルまでの熱帯高地植物が集められているようです。美しい自然が見られます。

見たことのない植物に圧倒されながらも皆で楽しく見学することができました。

園内でお昼ごはんを食べる

全員お腹が空いたので園内で食事をすることになりました。お店は10軒くらいありました。超高級レストランもありましたが予算的に無理でした。そこで、もう少しリーズナブルな飲食店に入りました。ハナはミナと並んで座るつもりでしたがミナはカイトと並んで座ってしまったのでハナはリクトの隣に座りました。

そこは地元の料理が食べられるお店でした。ハナはシンガポールの郷土料理に憧れていたので、迷わず注文しました。それは少し辛いけれど香辛料の香りも良く味わい深くてとても気に入りました。リクトも同じものを頼んだのですが、彼も美味しいと言いました。カイトは辛いものが苦手ということで普通の肉料理を注文していました。ミナもカイトと同じものを頼んでいました。良い雰囲気のお店でおいしく食事を楽しむことができました。

会計を済ませて店を出ました。

カイト「このあと、どうする?」

ミナ「私たちはお買い物かな?」

お買い物と聞いてハナは少しワクワクしました。

ハナ「そうね。お買い物、いいね!」

リクト「じゃあ僕たちもお供しようか?」

カイト「そんじゃ、決まり!次は買い物な!」

4人は植物園を出ることにしました。

(つづく)

良い旅を!

スポンサーリンク

『シンガポール・ホリデイ』のもくじへ戻る