お花見 定義と歴史

スポンサーリンク

お花見の定義

お花見とは、おもに桜などの花を見て春の訪れを寿ぎ(ことほぎ)遊び楽しむことを言うようです。

他の言い方では花逍遥とか観花、観桜という表現もあります。

お花見の歴史

もともと日本のお花見は農耕生活に基づいて行われていたようです。ただし、この場合は桜に限らなかったようです。

やがて奈良時代に貴族や宮廷の花宴になりました。この時点では梅を鑑賞していたようです。平安時代には桜を鑑賞するようになりました。そして貴人の遊びになりました。

西暦629年~759年の『万葉集』には桜を詠んだ歌が43首。

(※以降の文中の年代はすべて西暦です。)

『日本後記』には812年3月28日に「花宴の節(せち)」が催されたという記録があります。これは「お花見」が行われたという理解で良いと思います。この時から貴族の間にお花見が急速に広まりました。これが日本人の桜好きの源流の一つであるようです。

831年には宮中で定例行事として取り入れられました。

平安時代には庭には桜を植えるようになりました。桜の名所、京都の東山もこの頃に誕生しました。

905年~912年( 諸説あり)に完成した『古今和歌集』では桜を詠んだ歌が70首に増えています。

この『古今和歌集』には「花見」の文字も見られます。この「花」は「さくら」を指すようです。

「さくらの花の咲けりけるを見にまうできたりける人によみておくりける  凡河内躬恒(おほしこうちのみつね)」として
「 我が宿の 花見がてらに くる人は 散りなむのちぞ 恋しかるべき」とあります。

この頃から花といえば桜、女性の美貌を桜に例えるようになりました。

1008年の『源氏物語』「花宴(はなのえん)」には宮中でのお花見の様子が描かれています。

鎌倉(1185年~1333年)や室町時代(1336年~1573年)の初期には貴族の風習だったお花見が武士にも広がります。

1330年~1331年( 諸説あり)の『徒然草』第137段で吉田兼好は高い身分の人の花見と地方の人の花見を比べていますが、そのことから地方でもお花見が行われていたことが判ります。

桃山時代、1594年には吉野で、1598年には醍醐でそれぞれ盛大なお花見が行われました。

江戸時代には花見の風習もかなり広がり庶民のものとなりました。

スポンサーリンク

1720年には徳川吉宗が浅草や飛鳥山に桜を植えさせました。そして庶民の行楽を奨励しました。

明治時代には庭園や大名屋敷の桜が薪にされ江戸時代に改良された多くの品種が絶滅の危機を迎えましたが、駒込の植木職人、高木孫右衛門が自宅の庭で84の品種を守りました。

高木は1886年には荒川堤の桜並木造成に協力しました。

1910年には荒川堤の桜はお花見の名所として定着しました。78種類の桜が植えられていました。この桜は各地の研究施設に送られて改良され全国に広がりました。

1912年には日米友好の印としてこの荒川の桜の苗木3000本がワシントンに贈られました。そしてポトマック川の畔(ほとり)に植えられました。

お花見も現代では多くの人の楽しみとなりました。全国様々な場所で桜を植えたため、至る所でお花見が可能になっております。テレビ放送やラジオ放送でも桜前線や桜の開花、満開に関する情報が毎年流されます。

インターネット検索エンジンで「花見」と検索したところ1,290万件ものホームページがヒットしました。(2018年1月17日現在)どれだけ皆が関心を持っているのかが判ります。
 

お花見の雑学

桜のお花見が好まれるのは春に一斉に咲き誇り、わずか2週間ほどで散ってしまうところにあります。可憐な花の美しさとその生涯の短さ、そして散り際の派手さ、潔さ(いさぎよさ)、はかなさが人の心を引き付けて止まないのです。桜の花に人の人生を重ねて見ている人もいるかもしれません。

俳句では「花見」を春の季語としています。

昔の花見は花の下に座って花粉の精気を吸収する健康法でもあったようです。

「花見正月」とか「やまいそ遊び」と言われるものは旧暦3月3日か3月4日を節供として定め、村人たちが見晴らしの良い丘の上などに集まり飲食をする風習でした。

花見自体は「桜」の他、「梅」や「桃」でも行われることがあります。

卯月(うづき)8日に「花見の勧進」という行事をするところもあります。

陰陽道では「桜」を「陰(いん)」と捉え、「花見の会」を「陽(よう)」と見立てます。陰陽のバランスがとれていると考えるようです。この考え方がもしも正しいとすれば、お花見は賑やかに楽しむことも良いということになりますね。

落語に「長屋の花見」「あたま山」などの噺(はなし)があります。

日本各地に「花見」の文字が入る地名があります。

お花見の風習は日本だけでなく、アジアや欧米にも広がって来ているそうです。

※ 参考文献 『広辞苑』『ブリタニカ国際大百科事典』『マイペディア』『合本俳句歳時記』『ウィキペディア』

スポンサーリンク

良いお花見を!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です