欧州ミュージアム巡りの旅 31 (旅行連載小説短編) 

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Photo:Wikimedia Commons hiro449944

コンコルド広場

二人が乗ったバスはコンコルド広場に差し掛かります。二人はエッフェル塔までバスに乗って行くつもりなのでここでは降りません。遠くからでもコンコルド広場のオベリスクは目立ちます。この広場は昨日二人が歩いたリヴォリ通りとつながっています。

コンコルド広場( Place de la Concorde)は、パリ8区にある大きな広場です。パリの中心部、ルーブル美術館の隣りにあるチュイルリー公園とシャンゼリゼ通りの間にあります。シャンゼリゼ通りはコンコルド広場とエトワール凱旋門を結ぶ道路です。

1755年に、アンジュ・ジャック・ガブリエルによって設計されました。当初はルイ15世の騎馬像が設置されていましたが、その後撤去されます。1793年にルイ16世やマリー・アントワネットが命を絶たれた場所として有名です。1795年頃から「コンコルド広場」と呼ばれ始めます。公式に名称が定められたのは1830年です。

広場の中心部には、1836年にエジプトのルクソール神殿から運ばれたルクソール・オベリスク(Luxor Obelisk)別名「クレオパトラの針」があります。当時のエジプト国王ムハンマド・アリから贈られたものです。ヒエログリフをはっきり見ることができます。オベリスクの近くには噴水が2基あります。多数の街灯が立っています。周囲は車道になっていて交通量が多く、バスも多数走っていました。歴史の重みを感じる場所です。

「コンコルド」とは「協調」や「調和」を意味するようです。

飛行機のコンコルド

「この広場との関係は判らないんだけど、コンコルドって言うと私はフランスとイギリスが協力して開発した民間の超音速旅客機のことを思い出すね。」

サブローはスマートホンで飛行機のコンコルドに関する情報を確認しながらチエコに話します。

「三角の形をしたデルタ翼って言う翼を持つ美しい機体だったよ。日本にも飛んできたことがあったかな?確か羽田空港に。インターネットには[1972年6月12日デモンストレーションのために飛んできた]ってあるね。」

「へえ、日本にも飛んできたことがあったのね。」

「うん、その後も何回か飛んできたことがあったようだよ。」

「ふうん。」

「技術的にもユニークで、速度に応じて機体の中で燃料を前後に動かして重心を変えていたんだよね。インターネットによると巡航速度はマッハ 2.04、だいたい時速2,160キロメートルくらい、最大航続距離は7,229 ㎞だね。めっぽう速い飛行機だよね。合計で20機造られたかな?そうそう、着陸するときに操縦席の前の部分が少し下を向く仕組みが付いていたよね。僕は折り紙の鶴の頭の部分を連想しちゃったよね。」

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「ええ、思い出したわ。優雅な飛行機だったわね。真っ白で私は白鳥を連想したわ。」

「そうだね。きれいな機体だよね。でもね、この機体は250機で採算が合う計算だったから商業的にはうまく行ったとは言えないようだね。長い滑走路が必要だったり、長距離を飛べなかったり、100人位しか乗れなかったり、航空機関士が必要だったり、運賃が高かったり・・・。燃料が高騰したり、旅客の大衆化で大量輸送が望まれたような時代にはちょっと合わなかったんだろうね・・・。」

「なんか残念な感じね・・・。時代に合わなくなってしまって二度も権力の座から追われて結局滅びてしまったフランスのブルボン王朝のような悲しさを感じるわ。なんだかつながっているみたい。」

「うん、本当にそうだね。[歴史は繰り返す]って言うよね。」

「そうね。」

「でも乗ってみたかったなあコンコルド。ファーストクラスよりもさらに上のグレードという扱いだったらしいよ。コンコルドの定期路線が就航しているパリやロンドン、ニューヨークなどの空港にはコンコルドに乗るお客様専用のラウンジや専用のゲートがあったようだね。コンコルドには空港の発着時も最優先権が与えられていたし、コンコルドの客室乗務員はコンコルド専門の資格を持っていたようだね。コンコルドだけの特別な機内食メニューや飲み物、コンコルドの乗客専用にプレゼントされるおまけ的な記念品やグッズ、機内販売品など、他の機種にはない特別なサービスが提供されていたそうだよ。何もかもが特別な飛行機だったんだよね。コンコルドって聞くと私はやはりコンコルドという飛行機を思い出してしまうよ。」

熱く語るサブローにチエコは少しあきれてしまいますが、普段無口だったサブローが饒舌なことを微笑ましくも思いました。旅の気楽さでしょうか?二人で旅行に来て本当に良かったと思いました。

「[歴史は繰り返す]って言えるのなら、また同じような飛行機が造られるかもしれないわよ。そしたら乗れるかもしれないわね。」

「ははは、それいいね。でも搭乗するのには費用がファーストクラスの倍はするんだよ。もうちょっと安くしてもらえるといいよね。」

「ははは、そうね。もうちょっと安い方がいいわね。」

「そうだね。」

「それにしてもあなた飛行機が好きなのね。私、あなたの飛行機好きは全然知らなかったわ。」

「そうかい? うん、でも飛行機はいいよねえ、乗るのもいいんだけど眺めるのもいいよね。子供の頃から好きだったよ。でもたぶん、私は全般的に乗り物が好きなんだと思うよ。飛行機や、車、オートバイ、自転車、電車、船、宇宙船などなんでもござれだね。たぶん子供の頃から好きだったんだろうね。」

「そうね、男の子は乗り物の絵本やおもちゃが大好きだものね。」

二人がそんな話をしているうちにバスは シャンゼリゼ通りに入って行きました。

(つづく)

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良い旅を!

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