欧州ミュージアム巡りの旅 9 (旅行連載小説短編)

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ロンドンの宿へ

迎えに来てくれたのは運転手のダニエルさんでした。他に2組のお客さんが一緒の車に乗るようです。全員揃うまでたわいないお話をしていましたが、どうやらチエコたちを含む3組ともそれぞれ宿が異なるようでした。

全員揃ったのでダニエルさんが空港の駐車場まで案内してくれました。そこで待っていたのは大きなワゴン車でした。全員のスーツケースを軽々と車に載せるとチエコとサブローも乗り込みます。全員を乗せて走り始めました。

空港はどこもそうですが広々とした場所にあることが多いです。ヒースロー空港も広々とした場所にありました。車でその広々したところを走って行きます。ヒースロー空港から宿までは34キロメートル、45分ほど時間がかかりましたが、今夜泊まる宿に着きました。もう夜の11時になっていました。ダニエルさんはチエコとサブロー、それに二人のスーツケースを降ろしました。

「鈴木さんは3泊の連泊なので、その翌日の朝8時にまたお迎えに来ます。ロンドンをお楽しみください!おやすみなさい!」

と言いました。二人でダニエルさんにお礼を言うとダニエルさんはにっこり微笑み、他の人たちを乗せて軽やかに走り去って行きました。

宿にチェックイン

宿に入ると深夜なのにさわやかな男性のホテルマンがチェックインをしてくれました。部屋の鍵(カギ)を渡されました。ダニエルさんが話をしてくれてあったようでスムーズでした。かなり大きな宿のようです。

ポーターのお兄さんが荷物を部屋まで運んでくれました。成田空港で両替して用意しておいた2ポンド分の紙幣をチップとして渡しました。ガイドブックによれば枕銭は基本的に不要のようです。よほど部屋を散らかしてしまった場合には2~3ポンド程度を置いて行くのが良いそうです。ルームサービスを頼んだときは、チップを払わなくても良いし2~3ポンド程度を渡しても良いそうです。

部屋に入る

扉を閉めるとほっとしました。シンプルでしたが小ぎれいな部屋でした。大英博物館がほど近いスタンダードクラスの宿のようです。スタンダードクラスというのは安い宿という意味です。部屋の備品として湯沸かしポットとインスタントコーヒー・紅茶のティーバッグがありましたから良かったです。

部屋はツインでした。二人で過ごすにはやや狭いかなと感じました。でも眠るのには十分だと思いました。

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水道の水を入れた電気ポットで飲み物用のお湯を沸かしました。イギリスは水道水でも一応飲むこともできるらしいとガイドブックに書いてありましたから水道水を使ったのです。本当はそれでもミネラルウォーターを使った方が良かったのではないかとチエコは思いました。交代でシャワーを浴びました。石鹸以外に特別なアメニティはありませんでしたからシャンプーを持参したのは大正解でした。パジャマも提供されないことが日本にいるときから判っていたので、持参したパジャマを着ました。二人で白湯を飲みました。

歯を磨いてベッドに入ると、旅の疲れもあってか二人ともすぐに眠ってしまいました。

ロンドンの朝

二人とも普通にイギリス時間の6時には目が覚めました。気のせいなのか日本の朝よりも暗いような感じがしました。食事は朝食のみお願いしてありました。そこで7時に食事会場へ行ってみました。もう人が一杯でした。修学旅行のような若い人が多かったです。なんとか座ることができました。チエコは若いときに日本のユースホステルを利用したことがありましたが、そのときのことを思い出しました。

朝食は標準で食べられるのがパン3種、シリアル、フルーツ2種、コーヒー、紅茶等でした。追加料金5ポンドを支払うと目玉焼き、ベーコン、ソーセージ、豆のトマト風煮込みスープ、スクランブルエッグ等も食べられるようです。結局追加料金を支払ってしっかりと食べました。チエコとサブローは朝、パンとコーヒーを基本におかずが数品あれば満足できるのでいつもの朝食に近い食事内容でしたから十分満足できました。

近くにいた日本人の会話を聞いていたら、この宿の良さは大英博物館へは、ラッセルスクエアの公園を横切って博物館裏のエントランスまでが徒歩10分くらいと近く、地下鉄駅からも3分くらい、周辺に食事できるお店も多数あるのでロンドンの宿としては立地が良いようです。また、宿泊費用はロンドンの中では安い方だったようです。ラッセルスクエア駅の前には便利なお店があり、右手にはスーパーマーケットが入った大きなショッピングセンターもあるようです。キングス・クロス駅あたりまでは徒歩圏内だとか。いろいろ不満もありそうな会話内容ですが、トータルとしてコスパと便利さを兼ね備えた気楽に泊まれる宿という評価になっている感じでした。連泊してロンドンを楽しむお客さんが多いようです。

ちなみにその人たちの話からすると大英博物館の地下鉄最寄り駅は ピカデリーライン(Piccadilly Line)のラッセルスクエアー駅(Russell Square)のようです。

それらの話を聞いた後でサブローがボソッと言いました。

「旅行社が私たちの希望を叶えてくれたんだね。」

「私もそう思ったわ。」

とチエコも言いました。

(つづく)

良い旅を!

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