※ 今回は腰痛・ぎっくり腰の続きです。
腰の筋肉が痙攣している場合 2
6.腰の疾患がある 椎間板ヘルニア、脊椎すべり症、脊椎分離症、脊柱管狭窄症などがあると圧迫された神経に対応する領域の筋肉が痙攣(けいれん)する可能性もあります。腰の痛いところよりやや上の脊椎に原因のあることが多いです。また、腰は痛くなく、脚のしびれや重さを感じることの方が多いという人もあります。
予防としては普段から骨や軟骨を壊すような無理な運動や使い方をしないことです。また、異論も出されていることではありますが、腹筋や背筋などの体幹にある筋肉の力を付けて腰に負担がかからないようにするのも良いとされています。
旅行中にこれらが悪化した場合は対症療法しかありません。痛みを押さえるために鎮痛剤の服用をする人もあります。効果について疑問視もされていますが湿布を貼ることもできます。同じく効果について懐疑的な人が多いですがコルセットやサポーターで腰を巻くと動くことができるという人もあります。
根治療法は徹底したトレーニングとリハビリテーションです。場合によっては手術も視野に入れた方が良いですね。
7.肝機能の低下 肝臓の調子が悪い人も筋肉が上手く働かなくなります。腰痛が現れることもあります。その原因はこうです。筋肉を働かせるには糖などの物質が必要です。肝臓ではこれらの物質をグリコーゲンの形で蓄え、必要な時には糖の形に戻して放出します。肝臓が悪いとそういったことがスムーズにできなくなります。そのため筋肉が痙攣するなどの症状が出ることもあるのです。
予防としては暴飲暴食を避けることが第一です。また、血液による肝臓を病む疾病の感染を防ぐことも大事なポイントです。とにかく肝臓を守ることです。
肝臓を悪くしている人は病院などに通院してその疾患を治すことが寛容です。
旅行中に肝臓機能の関係で腰の痙攣を起こしたような場合には、やはり対症療法になります。鎮痛剤、湿布などを服用して抑えることになります。根治療法はもちろん肝臓疾患を治すことです。
8.糖尿病 病的に低血糖発作を起こすことがあります。健康な人でも血糖値が下がると痙攣することもあることは前回お話しましたが理屈は一緒です。低血糖で痙攣するほどだと意識も失いやすいのでその点も注意が必要です。
予防としては糖尿病の人は低血糖発作を起こさないように節制しておくことです。そして、旅行中に低血糖発作を起こしてしまった場合には対処しなければなりません。やはり事前準備が必要です。飴(あめ)やジュースを持ち歩き、低血糖発作の時には意識を失う前に糖の補給をすることが大事です。
根治は難しいので一生に渡って病と上手に付き合っていくことが大切です。一日の摂取カロリーを守り医師の指導の通りに上手に生活することが大切です。
9.脳から痙攣した場所までのどこかで圧迫がある 筋肉のコリや腫瘍などが原因で神経を圧迫していると圧迫された神経の支配領域で異常が起きてくることがあります。
予防としてはお体の異変を少しでも感じたら医療機関にかかり原因を発見しておくことが大切です。
対症療法は鎮痛剤、湿布などになります。根治療法としては手術があります。
10.脳梗塞や脳溢血の前駆症状 以前、医師からそういう例があると聞いたことがあるので加えておきましたが仕組みは良く分りません。おそらくは脳も神経と同じものですから神経に圧迫がある場合と同じと考えて良い部分と、脳の神経支配領域そのものが圧迫あるいは壊死していることにより制御できなくなっていることによるのかもしれません。
脳梗塞や脳溢血は予防が難しいのですが、健康的な生活を送り、肥満を避けることが大切です。ヒートショックと言われる温度変化を避けることも必要です。
脳の血管疾患に関する発作が起こってしまったらどこにいても即救急車を呼ぶことです。一分一秒を争う状態です。早く運ばれて早く対処できれば後遺障害を少なくできます。予後も良好であることにつながる場合があります。
筋繊維の一部が断裂することによって起こる腰痛
筋肉のすべてが断裂した場合は手術で筋肉を繋ぐ必要があります。ただし、腰の筋肉が断裂した例を私は聞いたことがありません。圧倒的に筋肉の中の筋繊維が傷ついているケースが多いです。このタイプの腰痛も「ぎっくり腰」と言われることが多いです。物理的刺激でなることが多く、揉んでも治るものではありません。入浴も役には立ちません。
筋繊維がつながるのには約5日から7日ほどかかります。その間安静にしているしかありません。このタイプの腰痛になってしまったら旅行を継続することはできません。帰宅して自宅療養に入るか病院に入院するのが良いでしょう。
回復する前に再び痛めると治るのにさらに一週間かかることになります。しかも修復が上手くできなくなる場合があります。
圧迫骨折で神経圧迫が起きている腰痛
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という骨がもろくなる病気の人がでくしゃみをしたときに背骨がつぶれて痛くなることがあります。あるいは健康な人でも強烈な尻餅をついて転倒したような際に背骨がつぶれてしまう症状があります。骨が痛み辛いようです。
つぶれた背骨(椎骨)に医療用セメントを注入して治す方法も存在していますが、つぶれ方が左右前後均等であるような場合には大抵そのまま固まるのを待つという治療法がとられることも多いです。
予防には骨粗鬆症の治療をしっかりしておくこと、転倒しないことなどがあります。
発症したら自宅療養か入院になります。旅行は継続できませんから残念ですが帰ることになります。
予後は良いことが多いですが、神経圧迫が残ると腰痛や脚のしびれが残ることもあります。
脳が原因の場合の腰痛
あまり見かけない例ですが、ごく稀に、脳が腰の痛みを記憶してしまっていて、実際にはどこも悪くないのに痛みだけを感じるというケースがあります。
予防としては腰痛になった時にはすばやく治してしまうことが大事です。いつまでもだらだらと痛いと脳が痛みを記憶してしまうことになります。また、ストレスの影響もあるようです。
治療は困難ですが、最近の研究では脳の背外側前頭前野(DLPFC)という部位の働きが低下するとそういうことが起きるのではないかということが判ってきています。
理学的療法に精神療法を組み合わせた慢性疼痛緩和プログラムも試みられているようです。
腰痛は可能な限り予防して楽しく旅行に出かけられますと良いですね!
良い旅を!