みちのく・弘前にて 10(旅行連載小説 短編)

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「へば、先生、旅行すらごども役サ立ちますか!」(じゃあ、先生、旅行することも役に立ちますか!)

「んだ、旅行はたげいいじゃきゃえ。昔かきや芸術家も旅ば好む人が多がたじゃきゃ。いづかは人工知能もロボットば使って旅ができらしうサのらびょんかいれど、それまでは人間サしかでぎないごどの一つだしきゃ。」(そう、旅行はとてもいいですねえ。昔から芸術家も旅を好む人が多かったですね。いつかは人工知能もロボットを使って旅ができるようになるかもしれないけれど、それまでは人間にしかできないことの一つだよね。)

「私も美ば感じらごど、がんばります。」(私も美を感じること、がんばります。)

「んだ、んだっきゃ。美へのセンスば良ぐすらごどはインプットじゃ。こいが大事、いづの間サかそれがおめの中で熟成されて行きます。そればもどサ必要サ応じてアウトプットすら。一気サ放出して表現すらんじゃ。情熱ば。そのたまなぐサは表現すら方法ば知らごども必要じゃ。」(うん、そうだね。美へのセンスを良くすることはインプットです。これが大事、いつの間にかそれが君の中で熟成されて行きます。それをもとに必要に応じてアウトプットする。一気に放出して表現するんです。情熱を。そのためには表現する方法を知ることも必要です。)

「はい。」(はい。)

「もう一つヒントがあらんだっきゃ。だばきゃ、わんつか矛盾しちゃんだだしきゃ。」(もう一つヒントがあるんだよね。でもね、ちょっと矛盾しちゃうんだよね。)

「矛盾だが?」(矛盾ですか?)

「んだ。それはきゃ、数学も大切っていうごどのんだし。」(うん。それはね、数学も大切っていうことなんだよ。)

「数学は私は苦手コなしてすし。数が苦っていうぐきやいサ(笑)」(数学は私は苦手なんですよ。数が苦っていうくらいに(笑))

「ははははは。大丈夫、私もそったらさ得意ではへね。ただ、黄金比率のしうサ美しいものは数学的なしてす。合理的の見せ方や見だ人の印象ば計算すらごどや配置のどの論理性もデザインでは大切なしてすし。」(ははははは。大丈夫、私もそんなに得意ではありませんよ。ただ、黄金比率のように美しいものは数学的なんです。合理的な見せ方や見た人の印象を計算することや配置などの論理性もデザインでは大切なんですよ。)

「あっ。論理性ってコンピュータみてじゃきゃ。」(あっ。論理性ってコンピュータみたいですね。)

「んだのんだし。だかきや不思議だしきゃえ。」(そうなんだよ。だから不思議だよねえ。)

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「先生、ありがどーごしござじょいした。進むべき方向がわんつか見えたしうの気がします。」(先生、ありがとうございました。進むべき方向が少し見えたような気がします。)

「んだかあ。へば良がた。」(そうかあ。それなら良かった。)

キンコーンカンコ-ン キンコンカンコ-ン

授業の終了を知らせるチャイムがなりました。

「ではデザインの授業はこいで終了じゃ。(笑)」(ではデザインの授業はこれで終了です。(笑))

「先生、ありがどーごしござじょいした。(笑)」(先生、ありがとうございました。(笑))

「んだんだ、んだった。デザインのおすすまなぐの本ば紹介すらきゃ。こさ書いておぐかきや読んでみてきゃ。」(そうそう、そうだった。デザインのおすすめの本を紹介するね。ここに書いておくから読んでみてね。)

先生はスラスラと本の名を紙片に書いて渡してくれました。

「心ど体サ無理ばしすぎてはまいねが、だば応援してらかきや!また、いづだば遊びサこながけろきゃ。」(心と体に無理をしすぎてはいけないが、でも応援してるから!また、いつでも遊びに来てくださいね。)

ありがどーごしござでゃ。先生もお体大切サご活躍けろ。(ありがとうございます。先生もお体大切にご活躍ください。) 

「ありがどーごし。」(ありがとう。)

サキは少し胸の中にある希望が膨らんだ気がしました。一礼して美術研究室を出ました。
帰りがけに美術部の部室を少しだけ覗いてみました。美術部員の作品が飾ってありました。サキが高校生として通っていた当時と雰囲気は変わりません。少し懐かしく、ほっとしました。母校を後にしました。

弘前でお買い物

さっそく先生が紹介してくれた本を大きな書店で探してみました。7冊のうち2冊は書店で購入できました。残りはネット通販で買うことにしました。

サキは弘前駅まで戻りました。駅前の百貨店をぶらぶら歩いているとふと思いました。(あっ!私、実家にお土産をあげてなかったわ。)東京から帰ってくるときは何も考えることができなかったからようやく気が付いたのでした。いくらか希望も出てきて気分も落ち着いてきたのかもしれません。いろいろ迷ったのですが弘前を訪れた観光客に人気のあるお土産の中から「ホタテをマヨネーズ風の調味料で和(あ)えた製品」を選びました。少し洋服もウインドウショッピングしてみました。弘前でも東京の流行をちゃんと素早く押さえているお店があって、その速さに少し驚きました。

(つづく)

良い旅を!

※ もしも、会話部分の津軽弁が間違っている場合はお教えください!

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