エッフェル塔に登る
二人はエレベーターの料金を払うとエッフェル塔に登りました。最上階は3階で276メートルの高さです。
エレベーターに乗ると満員になるまでお客さんを載せてから扉が閉まると上昇を開始しました。エレベーターが上がり始めると外の景色が見えました。エレベーター内は英語、フランス語、ドイツ語、日本語などが飛び交い国際色豊かです。話している言葉はよく解りませんでしたが、おそらくその内容はほぼ私たちが話しているものと同じような内容なのではないかとチエコは想像しました。
「だんだん高くなっていくわね。」
「パリの景色が良く見えるね。」
「そうね、意外なんだけど緑も多いわね。」
「そうだね、公園や庭園があるからかもしれないね。」
エレベーターはどんどん高度を上げます。人や車がどんどん小さくなっていきます。
到着すると扉が開きました。エレベーターを降りて、短い階段を登ると3階の展望デッキでした。
天気は良いのですがさすがにこの高さだと風が強く吹いているので体温が奪われて寒いです。展望デッキの手すりから下は目の細かい金属製の網状の格子が設置されています。手すりから上の部分には目の粗い金属製の網状の格子が設置されているのが印象的です。顔が出せないという程度の大きな網目です。このおかげで強烈な突風が吹いても誤って転落する可能性はありません。けれども手持ちのデジタルカメラやスマートフォンは落とさないように気を付ける必要があるとチエコは思いました。
「わああっ!良く見えるわねえ!」
「そうだね、セーヌ川やそこにかかる橋もはっきりと見えるね。車が玩具のように見えるね。」
「その向こうには小さいけれど凱旋門からルーブルまでが見えているわね。」
写真を撮ったり、景色を眺めたりして過ごしているうちに日が大分傾いてきました。若いカップルが多くいました。とても寒いのに何かを待っているかのようにたたずんでいます。特に展望デッキの西側に人が多いようです。
「みんな寒いのによく長い間ここにいるわね。」
「みんな若いからかな?きっと日の入りを観たいんだろうね。」
「そうかあ。恋人同士ならそれもロマンチックかもしれないわね。」
「私たちも観たいところだけど大分寒いよね。君は大丈夫?」
「いえ、大分寒いわ。もう限界かも。」
「それなら、もう降りようか?」
「ええ、賛成。私たちには少し寒すぎるわ。」
「お熱くないといられないってことかな?」
「うふふ。そういうことね。(笑)」
二人はエレベーターで降りることにしました。登りと比べて乗客がとても少なかったです。
下に降りてエッフェル塔から出てみると大分薄暗くなっていました。
二人でバス停の所まで歩きます。
「晩御飯どうしようか?何を食べたい?」
「本当に食べたいのは和食だけどちょっと無理よね。」
「たぶん、ものすごく高いかも。」
「オペラ通りにスーパーがあるから行ってみようか?日本食は無理だけど何か食べやすいものがあれば買って部屋に持ち帰って食べるのはどう?」
「それいいわね。なんだか面白そう。サンドイッチやチーズでもいいものね。」
スーパーへ
二人は停留所で再び乗り降り自由の観光バスに乗りました。オペラ座で降りることができました。
すぐそばにスーパーがありました。食品などの商品も豊富で見ているだけでも楽しいものです。
結局、チエコとサブローはサンドイッチとチーズ、サラダ、インスタントスープ、紙コップ、ミネラルウォーター、お菓子も買いました。なぜかモンサンミシェル土産の定番ビスケットも購入できました。これは美味しいので2つ買いました。レジ袋は有料なのでこのスーパーのエコバッグを買いました。買ったものはそのすべてをサブローが持ちました。
宿へ
少しだけ距離がありますがオペラ座からルーブル美術館を通って宿に帰ります。
「モンサンミシェルのビスケットはうれしいわ!」
「そうだね。随分前に食べたことがあったよね。」
「そうなのよ、お友達が旅行に行ってそのお土産で頂いたことがあったのよね。」
「確かとってもおいしかったんだよね。」
「外国のお土産としてはとても美味しいものだったわ。思わず買っちゃったわね。」
「でも確か、この頃は日本でも手に入ると聞いたことがあるよ。」
「そうなのよ、日本の高級なスーパーで手に入るらしいわよ。通信販売とかね、でもとても美味しいから宿で食べたくなっちゃったのよ。だから二つも買っちゃったの。」
「楽しみだね。」
辺りはもう真っ暗です。
「ごめんね、また暗くなってから歩かせてしまったね。」
「大丈夫、少しだけ慣れたような気もするわ。」
「君は度胸があるなあ。」
この日は特に何事もなく宿にたどり着きました。
宿にお願いしておいたランドリーは出来上がっていました。洗濯をしてもらえると本当に助かります。
部屋は清潔に整えられていました。スーツケースは無事でした。
部屋で夕食
手洗いうがいを済ませてからさっそく夕ご飯です。
メニューはサンドイッチとチーズ、サラダ、インスタントスープです。
割とあっさりした食事ですが二人にはその方がとても良かったのです。
「さっぱりしていておいしいわ。サラダがうれしいわね。」
「そうだね、そろそろさっぱりとした日本食が恋しくなってきたころかな?」
「そうね。」
(つづく)
良い旅を!