欧州ミュージアム巡りの旅 14 (旅行連載小説短編)

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※ 写真はイメージです。

ロンドン最後の夕ご飯

二人で宿を出ると街を少し歩いてみました。街灯も日本と違う雰囲気なのでエキゾチックです。少し寒いけれど服装は万全なので歩いていても平気です。しばらくすると体が少し暖かくなってきました。
通り沿いにトルコ料理のお店がありました。珍しいので入ってみようということになりました。内装はタイルがあったりインテリアにシンプルなシャンデリアがあったりとトルコの雰囲気です。お店の中は清潔でした。スタッフさんは皆トルコ人のようです。男性スタッフは皆ひげをたくわえていますし、女性スタッフはスカーフのようなものをかぶっていましたから(そうなのではないかな?)とチエコは思ったのでした。ロンドンというよりはイスタンンブールにいるような気分になりました。

「ちょっと得した気分かな?」

とサブローが言いました。

「そうね。トルコ料理は初めてだわ。」

「僕も初めてだよ。どんな料理なのかな? でも本格的なものが食べられそうだね。」

「期待できるかしら?」

このお店は地中海風料理、 欧州料理、トルコ料理、中近東料理、ベジタリアン料理などがあるようでしたが、どれがいいのかわからないので、トルコ料理のプリフィックスメニューをお願いしました。チエコは(おまかせのセットメニューのようなものかな?)と思いました。
辺りを見回すとお客さんもトルコの人が多い感じでした。
料理は 前菜から始まり メインはラム肉 パンはたっぷり。デザートが付いた上にトルココーヒーも美味でした。どれもおいしく、最高のトルコ料理なのだと思いました。おなかは満腹になりました。チエコは食べきれなくて少し残しました。
お会計をしてお店を出ました。宿に向かって歩きます。人通りが大分少なくなってきました。

前夜の出発準備

宿に帰ると交代でお風呂に入りましたが、その時、それぞれ荷物の整理をしました。明日はもうチェックアウトをしてパリに向かうので荷支度をする必要があったからです。
受け取った洗濯物はきれいにたたまれていましたからそのままスーツケースに入れることができました。

 

二人でミネラルウオーターを沸かしました。白湯を飲みました。

「ロンドンはどうだった?」

「私は楽しかったわ。」

「そうか、良かったね。僕も楽しかったよ。明日はパリだね。」

「そうね楽しみだわ。」

「君はやはりルーブルが楽しみなのかな?」

「そうなのよ。今は書道を習ってるけど、若いときは絵も描いたのよ。だから絵を見るのは好きなのよ。」

「ルーブルにはたくさん絵があるから楽しめそうだね。」

「そうね。でも一つ不安があるのよ私。」

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「不安?何が心配なの?」

「ええ、私、英語は学校で習ったからなんとなく馴染みがあってなんとかなるんだけど、フランス語はさっぱり解らないのよね。だから不安だわ。フランスの人たちは絶対に英語は話さないって聞いたこともあるし・・・。」

「そうだね、フランスの人たちが母国語を大事にしてるって話は聞いたことあるよ。でもね、主要な観光スポットでは英語も通じたと昔の同僚が言っていたよ。だから多分大丈夫じゃないかな? もしも、あいさつやお礼くらいのことをフランス語で言えたら楽しくコミュニケーションできると思うけれどね。」

「じゃあ少し覚えてみるわ。ガイドブックにちょっと載っていたような気がするわ。」

「そうだね。僕も覚えてみるね。」

二人は出発の準備をおおむね完了させてから床に就きました。昼間良く歩いたので良い塩梅に疲れていて二人とも驚くほど速く眠ってしまいました。

ロンドン出発の朝

朝6時に起きました。身支度をしていつでも出発できるように準備しました。7時に朝食会場へ行きました。昨夜の料理がボリューム十分だったのとこれから乗るユーロスターが一等のため食事が出るようなので、お腹の容量を考えてコーヒーと黒パンだけで済ませました。二人ともそれで満足できました。

部屋に戻り歯磨きを済ませました。忘れ物がないか点検してからスーツケースを持って部屋を出ました。

簡素な部屋だったけれど昼の間に観光を目いっぱいして、夜眠るためだけに帰ってくる宿としては十分に快適でした。大英博物館が近くて地下鉄の駅も近く、ショッピングセンターやコンビニエンスストア、喫茶店やレストランも近いことを考えると立地は最高だったとチエコは思いました。宿泊費の高いロンドンということを考えればコストパフォーマンスに優れた宿だったのです。何となく愛着すら感じ始めていたチエコとサブローでした。

「3泊お世話になりました!」

とチエコが軽く会釈をしながら部屋に言うと、

「お世話になりましたありがとう!」

とサブローも部屋に会釈しながら言いました。

フロントでチェックアウトしてロビーで待っていると初日にヒースロー空港からこの宿まで運んでくれた運転手のダニエルさんが迎えに来てくれました。車に軽々とスーツケースを載せると二人を乗せ発車しました。

「おはようございます。ロンドンはいかがでしたか?」

流暢な日本語で訊いてくれます。

「とても良かったですよありがとう。」

「そうでしたか良かったです。実は言いにくいんですが、お泊りになった宿からユーロスターに乗るセントパンクラス駅までは地下鉄でわずか一駅なのです。ただ、駅構内をスーツケースを引きながらそれなりに歩きますから大変なのです。そこで日本の旅行社から依頼を受けました。距離は短いのですがお送りさせていただきます。」

「ああ、そうでしたか。いや、それはありがたいことです。ユーロスターに乗り遅れては困りますからその方が助かります。距離のことは気になさらずよろしくお願いします。」

(つづく)

良い旅を!

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