千葉・親子旅 5(旅行連載小説短編)

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お土産をお買い物

アオイとコウドウはお腹がいっぱいになりました。バスの出発時間まで休憩をしました。

再びバスに乗るとお土産会場に向かいます。

「えー。皆様、お食事いかがでしたか?おなか一杯になったことと思いますが、ここで安心してはいけません。この後はお楽しみのお土産の時間です。これから皆様と参ります所は本日のツアーで最大のお土産物屋さんです。千葉県の海産物や農産物をお求めいただくことができます。お家でお留守番の方やお友達、ご親戚、ご近所の方などへのお土産はいかがでしょうか?私ごとではございますが、私も普段頂く干物をこちらで購入することがあるんですよ。」

しばらく走るとそのお土産物屋さんに着きました。すでに駐車場にはバスが6台停まっています

「はいっ、それでは到着いたしますが、皆さまがバスを降りられます前に、お店の方からお話がございますので、そのままおかけになってお待ちください。」

バスが止まりドアが開くと、元気よくお店の人がバスに乗り込んできました。

「はーい! 皆様こんにちは! ようこそいらっしゃいました~ ♪」

とても元気よくお土産店の店員さんが乗り込んできました。そしてとても元気に調子よく話し始めました。

「今日はですね、とても新鮮な南房総のお魚を大量に取り揃えて皆様のお越しをお待ちしておりました!お魚はとれたてピッチピチだよ!ここでしか買えない品物もたくさんございます。こちらは特売のチラシです。お得ですよ~。こちらがビワ味のソフトクリームの割引券です。甘くておいしいよ~!なお、ささやかですがお土産もご用意しておりますのでお帰りにバスの中でお受け取りください。皆様どうぞお買い忘れのないようにお買い物をお楽しみ下さい!さあ、お買い物タイムです~!よろしくどうぞ~!」

「すごいね・・・。」

コウドウが言いました。

「すごいね・・・。」

アオイも言いました。江戸っ子の二人から見てもそのお兄さんの説明のイキの良さは見事でした。

「お買い物時間は40分です。集合時間にはバスにお戻りください!それでは皆様、お買い物に参りましょう!」

バスガイドさんに促されてバスを降ります。皆、特売のチラシとビワソフトクリームの割引券を握りしめて、いざお土産屋さんに入ります。

「はいどうぞういらっしゃいませ。」

「大人気!いわしのハンバーグでございます。」

「いらっしゃい!新鮮だよ~!」

数人の元気な掛け声が響き渡り活気があります。お店にはすでにたくさんのお客さんがいてとても賑わっています。お店では

タイ・シシャモ・サバ・いわしのハンバーグ・いかの塩辛・さきいか・佃煮・白はまぐり・ビワの実バター・牛乳バターたこ姿焼き・びわクリーム大福・手作りラスク・お菓子・クッキーなどが売られていました。見ているだけでも楽しく時間はあっという間に過ぎて行きます。

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結局、夫のカヘイにはイカの塩辛の瓶詰を、娘のアヤセには千葉県のキャラクターが付いたクッキーをお土産に買いました。アオイは主婦らしくアジの干物・岩海苔(イワノリ)の佃煮・イワシのハンバーグを買いました。イワシのハンバーグには保冷剤を入れてくれました。コウドウはあさりバター味のスナック菓子を買いました。帰宅するまでにはまだ時間がかかりますから、魚が傷んでしまう可能性がありました。そこで、鮮魚など冷蔵の必要な品物は避けたのでした。

少しだけ時間があったので割引券を使ってビワ味のソフトクリームを買って二人で食べました。甘くビワの香りもして美味しいものでした。

集合時間近くにバスの所へ戻るとバスの下の大きなトランクルームの扉を運転手さんが開けていました。乗客の一人がそこに預けていた発泡スチロールの箱を取り出してもらったようです。どうやら保冷材を入れてあるようです。新鮮な魚をたくさん買ったようでそれを入れて持ち帰るようです。

「ああっ。準備がいいわねえ。ああいう方法もいいわねえ。」

「あれなら魚もイキのいいまま持ち帰ることができるね。」

「ちょっと重いけどクーラーボックスでもいいかもしれないわ。」

「うん。」

バスに乗るとバスガイドさんがお店からのお土産を渡してくれました。それは一人分ずつビニールの小さな袋に小分けされて封をしてある一つかみ分ほどの乾燥ワカメでした。

「ん。」

といってコウドウは自分の分の乾燥ワカメをアオイに渡しました。

「ありがとうよ。」

「うん。」

「少なく見えるかもしれないけど、これでも水でもどすとかなりカサが増えるんだよ。お味噌汁にお豆腐と一緒に入れるといいわよね。それに一味違うかもしれないわ。」

「・・・。」

コウドウは特に答えませんでした。

バスが動き始めました。

「さあ、みなさまお買い物はいかがでしたか?私もいろいろ買ってしまいました(笑)」

バスガイドさんも本当に買い物をしたようです。

「それではバスは次の目的地に参ります。海の幸を満喫した後は山の幸をということで次は牧場です。可愛い動物たちと触れ合っていただくことができます。また、この季節ですとサツマイモ掘り体験もできます。滞在時間はたっぷり2時間半ございますので思い思いにお過ごしいただくことができるかと思います。」

アオイがふとコウドウを見るとうつらうつらと眠っています。

(おなかいっぱいで眠くなっちゃったのね。)

反抗期の息子もこうして近くで寝顔をみると無防備です。やはり息子ですから母から見れば幾つになっても可愛いものです。アオイはコウドウがとても微笑ましく思えたのでした。

(つづく)

良い旅を!

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