みちのく・弘前にて 6(旅行連載小説 短編)

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明け方、サキは久しぶりに夢を見ました。

夢の中でサキは自分の子供時代にいました。場所は昔通っていた保育園の園舎内、自分は客観的に子供の時の自分を眺めています。子供の自分は幼馴染のミズホちゃんと二人で遊んでいます。おはじきやおままごとを楽しく二人で遊びました。遊びが終わるころ夢の中でミズホちゃんは言いました。

「いづまだば けやぐで いしうきゃ!」(いつまでも 友達で いようね!)

「んだ、んだきゃ けやぐで いしう!」(うん、そうね友達でいよう!)

「人生で大切のごどの一つは友だし!」(人生で大切なことの一つは友だよ!)

「んだ、んだっきゃ友だきゃ。」(うん、そうだね友だね。)

サキはミズホが子供なのに大人のようなことを言うから変だなあと思いました。

(ああ、そうか、ここは夢の中だったんだわ・・・。)

そこで目が覚めました。おいしそうなスクランブルエッグの香りがしました。外は明るくなっていました。

(友かあ・・・。確かに大事だよね、津軽弁の「けやぐ」は「契約」と響きが似てるなあって誰か言ってたっけ・・・。そうだミズホちゃんはどうしてるんだろう?)

サキは顔を洗うと着替えて居間に行きました。

「あっ。サキ!おはよーごし!」(あっ。サキ!おはよう!)

「おはよーごし!かっちゃ。」(おはよう!おかあさん。)

「ちゃんどおどがったんだきゃえ。」(ちゃんと起きたんだねえ。)

「んだ。だばきゃ、この頃では一番良ぐ眠れたし。」(うん。でもね、この頃では一番良く眠れたよ。)

「んだ、それは良がたきゃ。」(そう、それは良かったね。)

「さあ、食べしう。」(さあ、食べよう。)

朝食はパンにバターとジャム、シリアル、スクランブルエッグ、かりかりに炒めたベーコン、コ-ルスローサラダ、ヨーグルト、オレンジジュースでした。

「こい、アメリカの朝ごはんだっきゃ(笑)。」(これ、アメリカの朝ごはんだよね(笑)。)

「サキが好きかの?ど思て作ってみたのし。」(サキが好きかな?と思って作ってみたのよ。)

「んだ、どれもわらしの頃かきや好きだったものばりきゃ。」(うん、どれも子供の頃から好きだったものばかりね。)

「さあ、食べしうきゃ。」(さあ、食べようね。)

「いただきます。」(いただきます。)

「いただきます。」(いただきます。)

「何んぼ?」(どう?)

「めきゃ。」(おいしいね。)

「良がた。」(良かった。)

「あい? おどは?」(あれ? お父さんは?)

「おどだばもう会社サ行ったわし。今日は高速バスで遠ぐまでひっぱるって言ってたわし。」(お父さんならもう会社に行ったわよ。今日は高速バスで遠くまで運転するって言ってたわよ。)

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「おど頑張ってらきゃ。」(お父さん頑張ってるね。)

「本当サきゃ。だばひっぱるごどは好きみてし。」(本当にね。でも運転することは好きみたいよ。)

「ふーん。んだのんだきゃ。好きのごどば仕事サできらのはいいきゃ。」(ふーん。そうなんだね。好きなことを仕事にできるのはいいね。)

「んだきゃ。」(そうね。)

「んだ。幼馴染のミズホちゃんっておべてら?」(そうだ。幼馴染のミズホちゃんって覚えてる?)

「ミズホちゃん?。おーろ、陸奥さんのどこのお嬢さんのごどきゃ。」(ミズホちゃん?。ああ、陸奥さんのとこのお嬢さんのことね。)

「んだんだ。」(そうそう。)

「ご近所だったかきやちっちゃ頃、よぐむつけら遊んでいたしきゃ。」(ご近所だったから小さい頃、よく一緒に遊んでいたよね。)

「んだ、いづかきやか私かきやねんしたばって、いづの間サか会ってねんだっきゃ。今なじょしてらかの?」(うん、いつからかわからないんだけど、いつの間にか会ってないんだよね。今どうしてるかな?)

「確か、保育園の年長さんの頃おどの仕事の関係で引っ越していったし。」(確か、保育園の年長さんの頃お父さんの仕事の関係で引っ越していったよ。)

「どこへ引っ越していったか分ら?」(どこへ引っ越していったか分る?)

「たしかアメリカだったど思うばって・・・。オクラホマ?」(たしかアメリカだったと思うけど・・・。オクラホマ?)

「アメリカのオクラホマって? それはわんつか遠いきゃ・・・。」(アメリカのオクラホマって? それはちょっと遠いね・・・。)

「あの小さのめごいお嬢さんも、きっどなぐきやい大人サなていらんだべきゃえ。」(あの小さな可愛いお嬢さんも、きっとお前くらい大人になっているんだろうねえ。)

「んだきゃ、今朝きゃ、夢でミズホちゃんが出てきたの。」(そうね、今朝ね、夢でミズホちゃんが出てきたの。)

「へえ、んだ。それでどんの夢だったの?」(へえ、そう。それでどんな夢だったの?)

「わらしの頃の私どミズホちゃんが二人で遊んでいたんしたばって。人生は友が大事のんだり言われたのし。」(子供の頃の私とミズホちゃんが二人で遊んでいたんだけど。人生は友が大事なんだって言われたのよ。)

「んだ、友は確かサ大事し。特サ親友はんだやしサはでぎないかきやきゃ。」(そう、友は確かに大事よ。特に親友はそう簡単にはできないからね。)

「んだきゃ。」(そうね。)

母は、「友が大事、特に親友はなかなかできないから大事。」と教えてくれました。

 

(つづく)

良い旅を!

※ 会話部分は津軽弁で書きたくてがんばってみました。もし言葉や言い回しなど間違っているようであればご教示いただけますと幸いです。

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