台湾 DE ソリューション ③(旅行 連載小説 短編)

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スーツケースでパニック

モナとルリは隣に座った若い女性にお別れの挨拶をしました。

「それでは私たちはこれで・・・。よい旅をなさってください!」

「皆さんも、よい旅を!」

客室乗務員さんと笑顔でお別れして飛行機を降りました。スーツケースを受け取るために、機内預け荷物が出てくるターンテーブルの近くでスーツケースを待ちます。

「なんか、みんなスーツケースに印を付けているね。」

「そうだね、ベルトがついていたり、シールが貼ってあったり、ほら!あそこ、バンダナが結んであるのもあるよ!」

「おしゃれのためかな?」

「あっ黄色いの出てきたよ!」

「あれ?あそこのおじさんが取っちゃったよ!」

おじさんはおじさんの奥さんとおぼしきご婦人に黄色のスーツケースを渡しています。

「ちょっと行こう!」

おじさんの所へ駆け寄ります。

「すみません、それ私のだと思うんですけれど・・・。」

「えっ?間違えたかな?ちょっと待ってね・・・。」

おじさんはあわててスーツケースに付いている名札を確認します。

「お嬢ちゃん、悪いんだけれどやはりこれは家内のスーツケースのようですよ。」

「そのようですね、私が間違えました、ごめんなさい!」

「いやあ、いいんですよ、このスーツケースは買ったばっかりでね、何か目印でも付けておけばよかったんだけどね・・・。」

そう言うとおじさんは今度は自分の青い色のスーツケースをピックアップしていました。

その後、おじさんと奥さんは軽く微笑みながら「じゃあ、お先に。」とモナとメイに軽く手を振ると立ち去って行きました。

「ちょっと恥ずかしかったよう・・・。」

「仕方がないよ・・・。」

「スーツケースにベルトやシール、バンダナなどを付けているのは、自分のスーツケースを間違えずにピックアップするための工夫なのかもしれないね。」

「そうかもしれないね・・・。今度、何か付けてみようかな・・・。」

黄色とオレンジのスーツケースが並んで出てきました。

「今度は間違いないかな?」

「どうかな?」

それぞれのスーツケースをピックアップして名札をチェックします。

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「良かった、今度は間違えてないよ。」

「私も大丈夫だったよ。」

二人は検疫、税関、入国審査を無事通過しました。

何にも悪いことはしていないんだけれど、入国審査はちょっとどきどきしました。けれども、特に難しいことを聞かれることはなかったので少しほっとしました。

 

お出迎え

空港の制限区域を出ました。到着ロビーです。

「さて、お迎えにきてくれているガイドさんは・・・。」

「あっ!あそこ、このツアーを企画した会社のマークを書いた紙を持っている人がいるよ!」

「本当だね、あそこに行こう!」

ツアー会社のマークを持った人は笑顔で迎えてくれました。

「こんにちは!よくお越しくださいました!ガイドのワンと申します。」

「世田谷モナです。」

「渋谷メイです。」

「世田谷さんに渋谷さんですね・・・。はい承っております。そうしましたらここで少しお持ちいただけますか?」

「はい。」

ガイドのワンさんは手元の紙に書いてあるツアー参加者リストの名前をチェックしました。

次々と参加者が合流してきます。やがて10人になりました。その中には飛行機で隣に座っていた若い女性もいました。

「さっきの人だね。すごい偶然だね。」

「そうだね、一緒のツアーだったんだね。」

ガイドさんは全員が揃うと話し始めました。

「皆さんそれではこれからバスに移動します。」

ワンさんの後について空港を歩きます。みんなスーツケースをコロコロと音をさせながら引っ張っています。

ターミナルビルを出てバスに乗りました。大きいバスだと床下に大きなトランクルームがあるのですが、今回はマイクロバスだったので、マイクロバスの一番後ろの扉を開けてスーツケースを詰め込みます。

両替

宿に行く途中、両替をしました。台湾の通貨は日本では一般に台湾ドルと言われています。同じ表現にNT Dollar(ニュータイワンドル)や台湾元(タイワンユェン)、元(ユェン)、圓(ユェン)などもあります。会話上は塊(クァイ)と言うこともあります。

「これでお買い物もできるね。」

「使えるお金を持てば一安心かな?」

(つづく)

良い旅を!

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